乳がんのサブタイプ分類
4/24/2022 9:30:02
今日のポイント:ホルモン受容体陽性/陰性、HER2陽性/陰性、Ki-67高値/低値で分類される
乳がんの分類の仕方はいくつかありますが、今回は実臨床でもよく使われている「ホルモン受容体、HER2、Ki-67」という三種類の視点から乳がんを分類します。
ホルモン受容体(以前記事のホルモン療法①、ホルモン療法②)、HER2(HER2ってなに?)については以前の記事を参考にしてください。
今回初めて【Ki-67】という見慣れない用語が出てきました。これは乳がん細胞の増殖のスピードを表すタンパク質と考えられています。つまり、一般にKi-67という数値が高ければ高いほど増殖スピードが速い=悪性度が高い、低ければ低いほど増殖スピードが遅い=悪性度が低いという一つの目安に使われます。最新の乳がん診療ガイドライン(2018年版)では、Ki-67高値は有意な予後不良因子として考えられていますが、化学療法の効果予測因子などには使えません。実際はKi-67の数値だけで予後予測ができるわけではなく、患者さんの現在の状態なども総合的に考える必要があるため、主治医に自分の病気の状態を詳しく聞くことが大切です。
また、女性ならこれまでに何となく【トリプルネガティブ】という言葉も聞いたことがあるかもしれません。【トリプルネガティブ】とは、「ホルモン受容体2つ(=エストロゲン受容体+プロゲステロン受容体)とHER2のすべて(3つ、トリプル)が陰性(ネガティブ)」という意味です。この場合は、一般にホルモン療法や抗HER2療法が有効ではないため、化学療法による治療がメインになります。

さて、上記の分類表を参考にすると、自分の乳がんの種類がどのタイプに属するのかわかりますね。主治医は上記の分類表を一つの参考にして、実際に使用する薬剤を選択していきます。(具体的な薬剤や治療選択などは今後取り上げます。)
乳がんについて、わからないこともひとつずつ、一緒に勉強していきましょうね。
参考:
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