ホルモン療法②
4/17/2022 9:30:02
前回(ホルモン療法①)では、実際によく使われるホルモン剤を3種類紹介しました。 今回はそのホルモン剤についてもう少し詳しく説明していきます。
タモキシフェン:
閉経前のホルモン受容体陽性乳がん術後の患者さんに対して、タモキシフェンを5年間内服した人と内服しなかった人を比較した複数の試験の結果、術後に5年間内服した人の方が、年齢やリンパ節転移の有無などに関わらず再発リスクおよび死亡リスクが減少することがわかりました。また、タモキシフェン内服による有害事象(有害事象、副作用、副反応)は対照群と比較して有意なリスク増加は見られませんでした。
閉経後の場合でも、患者さんによっては下記のアロマターゼ阻害剤が使いにくい場面などでは選択肢となります。
LH-RHアゴニスト:
こちらの薬剤はタモキシフェンと併用する形で使用する場合があります。また、有害事象とのバランスなどでタモキシフェンが使えない患者さんにアロマターゼ阻害剤と併用で使用することもあります。一部の再発リスクが高い患者さん(年齢、リンパ節転移の有無など)にはその有効性が示唆されていますが、必ずしも全患者さんの生存期間に寄与しないとの見方もあり、実際に得られるメリットとデメリットをよく考える必要があります。
アロマターゼ阻害剤:
閉経後のホルモン受容体陽性乳がん術後の患者さんに対して、以前はタモキシフェンが標準治療(標準治療とは)でしたが、現在はアロマターゼ阻害剤が標準治療となっています。タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤を2~3年で順次に使用する使い方などもあり、これは患者さんの得られるメリットとデメリットを総合的に判断して決定されます。
今回は各薬剤の特徴について2018年版の乳癌診療ガイドラインを参考に説明しました。患者さんの人生に対する考え方や、得られるメリット・デメリットを総合的に考え、患者さんが治療の恩恵を最も得られるように相談して決めるのが一般的です。各薬剤について疑問点などあれば主治医に確認しましょう。
参考:
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