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コロナワクチン効果減弱

12/12/2021 9:30:02

新型コロナ

今日のポイント:重症、入院、死亡抑制に対する効果は6ヵ月間有効


 今回はカタールからの最新の研究を紹介します(NEJM誌オンライン版2021年10月6日号)。前々回記事:ファイザー/ビオンテック製ワクチン6ヵ月有効性を補うような内容になっていますので、そちらを先に見ていただくと理解が深まると思います。

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 ファイザー/ビオンテック製のワクチンを初回および2回目接種した後の新型コロナウイルス感染症への感染または入院、死亡に対するワクチンの効果を評価した研究です。2021/01/01~09/05の間に、カタール居住者の全国的なデータベース※を用いて調査し、感染の有無、重症(急性期病院の入院を必要とする)、重篤(集中治療室の入院を必要とする)、死亡の抑制効果を調べました。

 初回投与後2週間は感染に対する効果が非常に低かったものの、初回投与後3週間で36.8%、2回目投与後の初月は77.5%と感染に対する効果のピークを示しました。以降は徐々に低下し、4ヵ月後には急減し、2回目投与後5~7ヵ月は約20%程度でした。

 症候性感染(自覚症状を有する感染)へのワクチン効果の方が無症候性感染(自覚症状の無い感染)へのワクチン効果よりも高く、症候性感染へのワクチン効果のピークは81.5%、無症候性感染へのピークは73.1%でした。尚、変異株や年齢別にみても上記の効果は同様の変化を示していました。

 重症、重篤、死亡の抑制効果は、初回投与後2週間は非常に低かったものの、初回投与後3週間で66.1%へと急激に上昇し、2回目投与後2ヵ月で96%以上になりました。感染に対する効果とはやや異なり、重症化に対する効果は6ヵ月持続すると考えられます。

 今回の研究より、ワクチンの感染に対する効果と重症化に対する抑制効果は少し分けて考える必要がありそうですね。ワクチンによって抗体を獲得し、時間の経過とともに感染に対するワクチン効果はやや弱まる可能性がありますが、感染した際の重症化を抑制する効果は期待できるかもしれません。
※カタールでは12歳以上の9割以上が1回以上ワクチン接種を受け、8割以上が2回接種を完了しています(2021年9月7日時点)。


参考:Waning of BNT162b2 Vaccine Protection against SARS-CoV-2 Infection in Qatar | NEJM

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