職業とがんリスク
5/28/2026 10:00:05
今日のポイント
→肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高い
日本の労働者における職業とがん種別発症リスクの関連を全国規模で調査しました、肉体労働や運輸関連の職業でがんリスクが高いなど、東海大学からの報告です。(Journal of Occupational and Environmental Medicine誌オンライン版、2026年4月14日号)
本研究は、労働者健康安全機構の有する病職歴データベース(ICOD-R、2005〜23年度)を活用した多施設共同、病院ベース症例対照研究です。14万6,994例のがん症例と、年齢・性別・入院年をマッチングした27万8,244例の対照群を対象に分析しました。喫煙、飲酒、肥満、シフトワークなどの生活習慣・背景因子を調整したうえで、一般事務従事者を基準とした職業別の調整オッズ比を算出しました。
<男性>
・がん全体では、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、教師などの専門職およびホワイトカラーの職業においてリスクが低い一方で、肉体労働、サービス業、輸送関連の職業ではリスクが高い職業が多くなりました。
・肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんは、医師などの専門職でリスクが低くなりましたが、販売、飲食物調理、接客サービス、自動車運転、建設、土木、金属製品、運搬の職業では、肺がん、大腸がん、肝がんのリスクが高くなりました。
・木製品製造従事者は胆道がんリスクが高くなりました。
・建築家、土木技術者、測量士、音楽家、化学製品製造従事者は膀胱がんリスクが高くなりました。
・前立腺がんは多くの職種で一般事務職よりもリスクが低くなりましたが、これは潜在的な発症率の差というより、受診行動やPSA検査を含む検診受診率における職業間の差異を反映している可能性があります。
<女性>
・がん全体では、職業分類による差は男性ほど顕著ではないが、特定の部位で関連が認められました。
・電気機械組立従事者は、肺がん、胆道がん、胃がんのリスクが有意に高くなりました。
・胃がんは、事務機器操作、商品販売、家庭生活支援サービス、衣服・宝石製品製造の従事者の間でリスクが高くなりました。
・大腸がんは、教師、芸術家、デザイナー、写真家や、映像操作、販売類似職業、家庭支援サービス、介護サービス、農業の従事者でリスクが低くなりました。
・乳がんは、保健師、助産師、看護師、その他の医療従事者、介護サービス従事者が、一般事務職と比較して有意にリスクが低くなりました。
以上より、職業による違いがみられ、とくに男性で顕著であることがわかりました。一方、医師などの専門職では肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんのリスクが低いことが示されました。
参考文献:
Journal of Occupational and Environmental Medicine
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