大惨事とがん診断数
6/26/2025 9:30:04
今日のポイント:大惨事はがんの診断数を減少させる
自然災害やパンデミックなどの大惨事とがん診断数の関係を調査しました。プエルトリコ大学総合がんセンターからの報告です。(Cancer誌、2025年4月14日)

プエルトリコ中央がん登録簿の2012年1月1日から2021年12月31日までのデータを入手し、ハリケーン・イルマとハリケーン・マリアおよびCOVID-19パンデミックの発生直後などの自然災害および発生期間中に大腸がんの診断数がどのように変化したかを調査しました。
・2つのハリケーンがプエルトリコを襲った2017年9月の大腸がんの診断数は82件だったことが明らかになりました。
・ハリケーンがなかった場合に想定された診断数は161.4件であり、統計モデルにより、ハリケーンによる即時の影響として診断数が28.3件減少したと推定されました(17.5%の減少に相当)。
・一方、パンデミック発生に伴うロックダウン後(2020年4月)の大腸がん診断数は50件でした。
・ロックダウンがなかった場合に想定された診断数は162.5件であり、統計モデルにより、ロックダウンにより診断数は即時的に39.4件減少したと推定されました(24.2%の減少に相当)。
・2021年12月の研究終了時点でも、早期大腸がんの診断数と50~75歳での診断数は、想定される診断数に達していませんでした。
・また、末期大腸がんの診断数と、50歳未満および76歳以上の診断数は、想定される診断数を上回っていました。
以上より、ハリケーンの襲来やパンデミックの発生により医療へのアクセスが制限されることが原因でがんの発見が遅れ、患者の健康状態が悪化する可能性が示唆されました。
参考文献:
Evaluating the impact of hurricanes and the COVID‐19 pandemic on colorectal cancer incidence in Puerto Rico: An interrupted time‐series analysis - PMC
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