歯磨きと肺炎

今日のポイント：歯磨きにより肺炎リスク低下


毎日の歯磨きで院内肺炎（hospital acquired pneumonia；HAP）発症リスクを調査しました。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院と米ハーバード大学医学大学院からの報告です。（JAMA Internal Medicine、2023年12月18日）

毎日の歯磨きが入院患者のHAP罹患やその他の患者転帰に与える影響を検討するために、総計1万742人の対象者（ICU入室患者2,033人、ICU非入室患者8,709人）から成る15件のランダム化比較試験を抽出しました。ICU以外の患者を対象にしたクラスターランダム化試験を有効なサンプルサイズに削減し、最終的に2,786人の患者を対象にメタアナリシスを行いました。
 
・毎日歯を磨いた患者ではHAP発症リスクが有意に低下し（リスク比0.67、95％信頼区間0.56〜0.81）、またICU入室患者では、歯を磨くことで死亡リスクも有意に低下しました（同0.81、0.69〜0.95）。
・人工呼吸器装着の有無で分けて歯磨きによるHAP発症リスクの低下を見ると、人工呼吸器装着患者ではリスク低下は有意でしたが（同0.68、0.57〜0.82）、非装着患者では有意ではありませんでした（同0.32、0.05〜2.02）。
・さらに、ICU入室患者では、歯磨きを行った患者では、歯磨きを行わなかった患者と比べて、人工呼吸器装着期間（平均差−1.24日、95％信頼区間−2.42〜−0.06）とICU入室期間（同−1.78、−2.85〜−0.70）が有意に短縮していました。
 
以上より、毎日の歯磨きで入院患者の肺炎リスクが下がる可能性が示唆されました。

参考：Association Between Daily Toothbrushing and Hospital-Acquired Pneumonia: A Systematic Review and Meta-Analysis | Respiratory Failure and Ventilation | JAMA Internal Medicine | JAMA Network