コロナ入院患者の他疾患発症
7/11/2023 10:00:04
今日のポイント:コロナ入院後の他疾患発症リスクは他感染症と同じ程度
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化した人は、急性期後も心血管疾患、神経疾患、精神疾患、炎症性疾患や自己免疫疾患などを発症するリスクが高まり、Long COVIDとして問題になっています。しかし、それはほかの感染症と比較した場合にもリスクが高いと言えるでしょうか? カナダ・トロント大学からの研究を紹介します。(JAMA Internal Medicine誌オンライン版、2023年6月20日号)
2020年4月1日~2021年10月31日にCOVID-19で入院した全成人を試験群とし、「過去にインフルエンザで入院」「過去に敗血症で入院」した人を対照群としました。さらにパンデミック中に治療パターンや入院の閾値が変化した可能性を考慮するため「期間中に敗血症で入院」も対照群に加え、年齢、性別、過去5年内の肺炎による入院、COVID-19ワクチン接種状況などの交絡因子を調整しました。
アウトカムは入院後1年以内の虚血性および非虚血性の脳血管障害、心血管障害、神経障害、関節リウマチ、精神疾患など、事前に規定した13疾患の新規発症としました。
- 試験群として期間中のCOVID-19入院:2万6,499例、対照群として過去にインフルエンザで入院:1万7,516例、過去に敗血症で入院:28万2,473例、期間中に敗血症で入院:5万2,878例が登録されました。年齢中央値75(四分位範囲[IQR]:63~85)歳、54%が女性でした。
- COVID-19入院は、インフルエンザ入院と比較して、入院1年以内の静脈血栓塞栓症(VTE)の発症リスク上昇と関連していました(調整ハザード比:1.77、95%信頼区間:1.36~2.31)。
- しかし、インフルエンザまたは敗血症コホートと比較して、その他の規定された13疾患の発症リスクは上昇しませんでした。
以上より、COVID-19入院後は、他疾患の発症リスクが高まると考えられますが、その程度はVTEを除けば他感染症と同じであった。このことは、COVID-19の急性期以降のアウトカムの多くは、SARS-CoV-2感染による直接的な結果ではなく、入院を必要とする重症の感染症に罹患したことに関連している可能性がある」としている。
参考:Comparison of Medical and Mental Health Sequelae Following Hospitalization for COVID-19, Influenza, and Sepsis | Critical Care Medicine | JAMA Internal Medicine | JAMA Network
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