コロナ患者へのビタミンC投与、その有効性は？

今日のポイント：コロナ入院患者へのビタミンC投与は有効性なし


新型コロナウイルス感染症（COVID-19）入院患者へのビタミンC投与の有効性を調べました。カナダ・Sunnybrook Health Sciences Centreからの報告です。（JAMA誌、2023年11月14日号）

ビタミンCがCOVD-19患者のアウトカムを改善するかどうかを評価した2件の試験は、2020年7月23日～2022年7月15日に、世界4大陸で、集中治療室（ICU）で心肺支持療法を受けている重症患者（90ヵ所で登録）と非重症患者（40ヵ所で登録）を対象に行われました。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはビタミンCを、もう一方にはプラセボを6時間ごとに96時間（最大16回）静脈投与しました。
 
主要アウトカムは、心肺支持療法離脱日数（ICUで最長21日間心肺支持療法離脱で生存と定義）と生存退院の複合としました。同アウトカムの範囲は、院内死亡（－1）～心肺支持療法離脱で生存（22）で評価しました。主要解析は、ベイジアン累積ロジスティックモデルを用いて行いました。オッズ比（OR）1超の場合は有効性（生存の改善、心肺支持療法離脱日数の増加、またはその両方）を、1未満の場合は有害性を、1.2未満では無益性を示すものとしました。
 
・主要アウトカムが得られたのは、重症患者1,568例（ビタミンC群1,037例、対照群531例、年齢中央値60歳［四分位範囲[IQR]：50～70］、女性35.9％）、非重症患者1,022例（456例、566例、62歳［51～72］、39.6％）でした。
・重症患者において、心肺支持療法離脱日数中央値はビタミンC群7日（IQR：－1～17）、対照群10日（－1～17）で（補正後比例OR：0.88、95％信用区間[CrI]：0.73～1.06）、事後確率は8.6％（有効性）、91.4％（有害性）、99.9％（無益性）でした。
・非重症患者においても、心肺支持療法離脱日数中央値はビタミンC群22日（IQR：18～22）、対照群は22日（21～22）で（補正後比例OR：0.80、95％CrI：0.60～1.01）、事後確率は2.9％（有効性）、97.1％（有害性）、99.9％超（無益性）でした。
・重症患者の生存退院率についても、ビタミンC群61.9％、対照群64.6％で（補正後OR：0.92［95％CrI：0.73～1.17］）、有効性の事後確率は24.0％でした。非重症患者の生存退院率も、それぞれ85.1％、86.6％で（0.86［0.61～1.17］）、有効性の事後確率は17.8％でした。
 
以上より、新型コロナウイルス感染症入院患者へのビタミンC投与は、心肺支持療法離脱日数や生存退院を改善する可能性は低いとされました。


参考：Intravenous Vitamin C for Patients Hospitalized With COVID-19: Two Harmonized Randomized Clinical Trials | Critical Care Medicine | JAMA | JAMA Network