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2050年の男性のがん罹患状況予測

11/24/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:2022年から2050年の間に最も大きな増加するがんは、罹患数では中皮腫、死亡数では前立腺がん


がんの罹患や死亡に関する2022年の世界的な統計データ(GLOBOCANデータ)を用いて2050年の予測値を算定しました。オーストラリア・クイーンズランド大学からの報告です。(Cancer誌オンライン版、2024年8月12日)

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国際がん研究機関(IARC)による日本を含む185の国と地域対象の2022年のGLOBOCAN推定値を用いて、30種類のがんについて死亡率罹患率比(MIR、年齢調整死亡率/罹患率)を算定しました。2050年の予測値については、人口動態予測を用いて計算しました。労働年齢(15~39歳と40~64歳)および高齢者(≧65歳)に分類され、185の国と地域は人間開発指数(HDI)に基づき4分類しました(低、中、高、非常に高)。

・2022年、世界の男性におけるがん罹患数は1,030万例、がんによる死亡数は540万例と推定され、罹患数と死亡数の約3分の2が高齢者(≧65歳以上)でした。
・罹患数と死亡数でみると肺がんが最も多くなりましたが、年齢層によって若干のばらつきがみられました(例:15~39歳では、罹患数は精巣がん、死亡数は白血病が最も多い)。
・2022年、世界の男性におけるがんのMIRは54.9%と推定されました。
・がん種別にみると甲状腺がんの7.6%から膵臓がんの90.9%までの範囲で、MIRが高かった3つのがん種は、膵臓がん、肝臓がん、食道がんでした。
・MIRはHDIと逆相関しており、HDIが低い国で最も推定値が高く(73.5%)、HDIが非常に高い国で最も低くなりました(41.1%)。
・世界中の国と地域間でMIRに大きな差(約3倍)があり、ノルウェーの28.0%からガンビアの86.6%までの範囲でした(日本は32.7%)。
・2050年までに世界の男性におけるがん罹患数は1,900万例に達すると予測され、2022年の推定値と比較して変化率は84.3%増となりました。
・また、がんによる死亡数は1,050万例に達すると予測され、93.2%増となりました。
・肺がんは引き続き最も一般的ながん種であり、罹患数と死亡数は2022年と比較して87%超の増加と予測されました。
・2022年から2050年の間に最も大きな増加が見込まれるがん種は、罹患数では中皮腫(105.5%増)、死亡数では前立腺がん(136.4%増)でした。
・2022年から2050年の間にHDIの低い国や地域ではがんの罹患数と死亡数が2倍超(140%増)になると予測された一方、HDIの非常に高い国や地域では罹患数が50.2%増、死亡数が63.9%増と予測されました。
・また、HDIが高いおよび非常に高い国・地域の15~39歳においては、罹患数と死亡数が約11%減少すると予測されました。

以上より、2022年に確認された男性におけるがん罹患数と死亡数の格差は、2050年までに拡大すると予測されました。


参考文献:
Burden of 30 cancers among men: Global statistics in 2022 and projections for 2050 using population‐based estimates - Bizuayehu - Cancer - Wiley Online Library

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