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入浴関連死、最もリスクの高い都道府県は〇〇

10/21/2025 10:00:00

その他

今日のポイント:入浴関連死、最もリスクの高い都道府県は鹿児島県

日本人は頻繁に入浴する習慣があるため、とくに高齢者では世界で最も溺死率が高い。そこで入浴関連死のリスクが高い都道府県を調査しました。奈良県立医科大学からの報告です。(Environmental Health and Preventive Medicine誌、2025年号)

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本研究では、日本の1995~2020年における浴槽内での偶発的な溺死および溺水に関する死亡診断書データ(ICD-10コードW65)を収集し、気象庁の気温データと照合しました。日平均気温と入浴関連死リスクの関連性を調べるために、一般化加法混合モデル(GAMM)を用いて解析しました。気温の変化に伴うリスクの変動を捉えるため、リスクが最も高い日と最も低い日の比率をピーク相対リスク(RR)と定義し、これを算出しました。

・全国で11万938例の入浴関連死が確認されました。
・90.0%が住居、6.2%が商業・サービス施設でした。
・入浴関連死のリスクは、日平均気温が1.8℃で最も高くなりました。
・日平均気温30.3℃の最低リスク時と比較して、RRは9.7(95%信頼区間[CI]:9.5~9.9)でした。
・とくに男性や65歳以上の高齢者で、死亡リスクが高い傾向が認められました。
・日平均気温が極端な低温時や高温時よりも、中間の気温範囲でリスクが高くなることが認められました。
・都道府県別にみると、鹿児島県で最もリスクが高く、ピークRRは19.6(95%CI:16.2~23.6)でした。
・一方、北海道が最低で、ピークRRは3.8(95%CI:3.4~4.3)でした。
・九州や四国など、冬場に温暖な地域のほうが、北海道や東北、北陸などの寒い地域よりも、概してリスクが高くなりました。
・この理由として、温暖な地域の住宅は断熱性が低く、冬場の屋内気温が低いことが原因である可能性が指摘されました。
・都道府県別では、住宅断熱性の指標である複層ガラス窓の普及率が高いほど、ピークRRの低下と有意に関連していました。
・また、単身世帯の高齢者の割合が高いことも、高リスクと関連していました。

以上より、入浴関連死には、気温だけでなく、地域ごとの住宅環境や社会的要因が関連していることが示唆されました。


参考文献:
Association between outdoor temperature and bath-related drowning deaths in Japan (1995–2020): modifying factors and the role of prefectural characteristics

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