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コロナ後遺症と頭痛

9/17/2023 10:00:04

新型コロナ

今日のポイント:コロナ後遺症は頭痛の有無で生活の質(QOL)が異なる
 

コロナ後遺症の頭痛に焦点を当てた研究を紹介します。岡山大学からの報告です。(Journal of Clinical Medicine、2023年5月18日)

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岡山大学病院総合内科・総合診療科に設けられている、コロナ・アフターケア(CAC)外来を2021年2月12日~2022年11月30日に受診した患者から、研究参加への不同意、年齢が10歳未満、データ欠落などに該当する人を除外した482人を対象とする、後方視的観察研究として行われました。コロナ後遺症は、COVID-19感染から4週間以上経過しても何らかの症状が持続している状態と定義しました。

  • 解析対象の4分の1弱に当たる113人(23.4%)が受診時に頭痛を訴えていました。
  • 頭痛の有無で二分し比較すると、頭痛あり群は年齢が若いこと〔中央値37(四分位範囲22~45)対42(28~52)歳、P<0.01〕以外、性別の分布、BMI、喫煙・飲酒習慣に有意差はありませんでした。
  • COVID-19急性期の重症度についても、両群ともに軽症が8割以上を占めていて、有意差はありませんでした。
  • また採血検査の結果は、炎症マーカー、凝固マーカーも含めて、主要な項目に有意差が認めらませんでした。
  • 一方で、COVID-19罹患の時期を比較すると、頭痛なし群はデルタ株以前の流行時に罹患した患者が53.9%と過半数を占めていたのに対して、頭痛あり群ではオミクロン株出現以降に罹患した患者が61.1%を占めていました(P<0.05)。
  • また、頭痛なし群ではCOVID-19罹患から平均84日後にCAC外来を受診していたが、頭痛あり群では約2週間早く外来紹介されていました(P<0.01)。
  • 頭痛以外の症状の有病率を比べると、以下に挙げるように、頭痛あり群の方が有病率の高い症状が複数認められました(以下の全てがP<0.05)。倦怠感(76.1対54.7%)、不眠症(36.2対14.9%)、めまい(16.8対5.7%)、発熱(9.7対3.8%)、胸痛(5.3対1.1%)。一方、嗅覚障害の有病率は、頭痛あり群の方が有意に低くなりました。
  • 次に、さまざまな症状の主観的評価指標〔抑うつ症状(SDS)、胃食道逆流症(FSSG)、倦怠感(FAS)〕のスコアを見ると、それらのいずれも、頭痛あり群で症状が有意に強く現れていることを示しており、生活の質(QOL)の評価指標(EQ-5D-5L)は頭痛あり群の方が有意に低くなりました(P<0.01)。
  • 続いて、EQ-5D-5Lスコア0.8点未満をQOL障害と定義して、多変量解析にて独立して関連する症状を検討し、その結果、最もオッズ比(OR)の高い症状は頭痛であることが明らかになりました〔OR2.75(95%信頼区間1.55~4.87)〕。
  • 頭痛のほかには、しびれ〔OR2.64(同1.33~5.24)〕、倦怠感〔OR2.57(1.23~5.34)〕、不眠症〔OR2.14(1.24~3.70)〕などがQOL低下と独立した関連があり、反対に嗅覚障害は唯一、負の有意な関連因子として抽出されました〔OR0.47(0.23~1.00)〕。


以上より、頭痛を有する患者はオミクロン株流行以降に増加したこと、年齢が若いこと、生活の質(QOL)がより大きく低下していることなどが明らかになりました。

 
参考:JCM | Free Full-Text | Manifestation of Headache Affecting Quality of Life in Long COVID Patients (mdpi.com)

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