内臓脂肪、皮下脂肪と慢性疼痛
12/3/2024 10:00:04
今日のポイント:内臓脂肪や皮下脂肪の過剰な蓄積が筋骨格系の痛みと関連
内臓脂肪や皮下脂肪と筋骨格系の痛みの関連を調査しました。オーストラリア・タスマニア大学からの報告です。(Regional Anesthesia&Pain Medicine誌オンライン版、2024年9月10日号)
![image](https://images.microcms-assets.io/assets/66394d2fe70a44d5b891932e95b635a6/436d1ce20db940e289b746ee40c7d832/30738395_s.jpg)
大規模前向きコホート研究であるUK Biobankのデータを使用し、内臓脂肪組織(visceral adipose tissue:VAT)と皮下脂肪組織(subcutaneous adipose tissue:SAT)の定量化のために、2回の画像診断時に腹部MRIを実施しました。首/肩、背中、腰、膝、または全身の痛みの評価を診断時に行い、混合効果多項式ロジスティック回帰モデルを用いて解析しました。
・解析対象者は3万2,409例(女性:50.8%、平均年齢±SD:55.0±7.4歳)でした。
・多変量解析の結果、1標準偏差増加当たりの女性のVATのオッズ比(OR)は2.04(95%信頼区間[CI]:1.85~2.26)、SATのORは1.60(95%CI:1.50~1.70)、VAT/SAT比のORは1.60(95%CI:1.37~1.87)でした。
・また、男性ではVATのORは1.34(95%CI:1.26~1.42)、SATのORは1.39(95%CI:1.29~1.49)、VAT/SAT比のORは1.13(95%CI:1.07~1.20)であり、両者においてVAT、SAT、VAT/SAT比と慢性疼痛部位の数との間に用量反応関係が認められました。
・脂肪組織レベルが高いと、男女ともに慢性的な痛みを報告する確率が高くなることも関連しており、これらの脂肪測定の影響推定値は、男性よりも女性のほうが比較的大きくなりました。
以上より、腹部の過剰かつ異所性の脂肪沈着が多部位で広範囲にわたる慢性筋骨格系の痛みの発症に関与している可能性が示唆されました。
参考文献:
MRI-derived abdominal adipose tissue is associated with multisite and widespread chronic pain | Regional Anesthesia & Pain Medicine (bmj.com)
この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓