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米国の若年健康児、インフルエンザ脳症が増加

9/9/2025 10:00:00

その他

今日のポイント:米国の若年健康児、インフルエンザ脳症が増加

米国では2024~25年のインフルエンザシーズン中、大規模な小児医療センターの医師たちから、インフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)の小児患者数が増加したと報告があり、調査を行いました。米国・スタンフォード大学からの報告です。(JAMA誌オンライン版、2025年7月30日号)

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2024~25年インフルエンザシーズンの急性壊死性脳症(ANE)小児を調査しました。研究グループは、IA-ANEと診断された米国の小児における臨床症状、介入およびアウトカムを明らかにするため、ANEと診断された小児を対象に多施設共同集積研究にて長期追跡調査を行いました。症例募集は、学会、公衆衛生機関を通じたほか、同国内76の大学医療センターの小児専門医に直接コンタクトを取り、2023年10月1日~2025年5月30日の症例の提供を要請して行いました。対象基準は、放射線学的な急性視床障害および臨床検査によりインフルエンザ感染が確認された21歳以下の急性脳症患者としました。主要アウトカムは、主な症状、ワクチン接種歴、検査値および遺伝学的所見、介入、臨床アウトカム(修正Rankinスケールスコア[0:症状なし、1~2:軽度障害、3~5:中等度~重度障害、6:死亡]など)、入院期間、機能的アウトカムでした。

・提供された58例のうち、23病院からの41例(女児23例、年齢中央値5歳[四分位範囲[IQR]:2~8])が対象基準を満たしました。
・31例(76%)は重大な病歴を有していませんでしたが、5例(12%)は複雑な疾患を有していました。
・主な臨床症状は、発熱38例(93%)、脳症41例(100%)、けいれん発作28例(68%)でした。
・39例(95%)がインフルエンザA(A/H1pdm/2009:14例、A/H3N2:7例、サブタイプ不明:18例)、2例がインフルエンザBに感染していました。
・検査所見で異常値が認められたのは、肝酵素の上昇(78%)、血小板減少症(63%)、脳脊髄液タンパク質の上昇(63%)などでした。
・遺伝子検査を受けた32例(78%)のうち、15例(47%)にANEリスクに関連する可能性がある遺伝的リスクアレルがあり、11例(34%)はRANBP2変異を有していました。
・ワクチン接種歴が入手できた38例のうち、年齢に応じた季節性インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは6例(16%)のみでした。
・ほとんどの患者は複数の免疫調節療法を受けていました。
・メチルプレドニゾロン(95%)、免疫グロブリン静注(66%)、トシリズマブ(51%)、血漿交換(32%)、anakinra(5%)、髄腔内メチルプレドニゾロン(5%)などでした。
・ICU在室期間中央値は11日(IQR:4~19)、入院期間中央値は22日(7~36)。11例(27%)が症状発症から中央値3日(2~4)で死亡し、主な死因は脳ヘルニア(91%)でした。
・90日間の追跡調査を受けた生存児27例のうち、17例(63%)が中等度以上の障害(修正Rankinスケールスコア3以上)を有していました。

以上より、全米を対象とした直近2シーズン中に、若年で直前までは健康であった小児の集団において、インフルエンザ関連急性壊死性脳症の罹患率および死亡率が高かったことを明らかにしました。


参考文献:
Influenza-Associated Acute Necrotizing Encephalopathy in US Children | Critical Care Medicine | JAMA | JAMA Network

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