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日本人ASD、ADHDの自殺予防のために必要な幼少期の体験

7/15/2025 10:00:05

メンタルヘルス

今日のポイント:幼少期のポジティブな経験が自殺予防に重要

自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如多動症(ADHD)の特性と幼少期のポジティブな経験が自殺関連行動に及ぼす複合的な影響を調査しました。弘前大学からの報告です。(Frontiers in Psychiatry誌、2025年4月30日号)

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対象は、16〜25歳の日本人5,000人。検証済みの尺度を用いて、ASD およびADHD特性、幼少期のポジティブな経験、自殺念慮および自殺企図を含む自殺関連行動を測定し、データを収集しました。これらの変数の影響を評価するため、階層的回帰分析を複数回実施しました。幼少期のポジティブな経験と神経多様性特性との間の相互作用効果を検討し、潜在的な緩和効果を検証しました。

・ASD特性およびADHD特性は、自殺念慮と正の相関が認められ、両特性のレベルが高いほど、自殺リスクが最も高くなりました。
・幼少期のポジティブな経験を組み込むことで、自殺念慮との有意な負の相関が示され、幼少期のポジティブな経験が多いほど、自殺念慮のレベルは低くなりました。
・幼少期のポジティブな経験は、ASD特性(β:0.180→0.092)およびADHD特性(β:0.216→0.185)と自殺念慮との関連性を低下させました。
・交互作用分析では、幼少期のポジティブな経験の自殺念慮に対する保護効果は、ADHD特性が高い人において、とくに顕著でした。
・単純傾斜分析では、ADHD特性が低い人(β:−0.339、z=−18.61、p<0.001)、高い人(β:−0.475、z=−21.84、p<0.001)のいずれにおいても、幼少期のポジティブな経験が多いほど、自殺念慮の減少と有意な関連が認められ、ADHD特性が高い人ほどより強力な影響が示されました。

以上より、自殺の予防では、幼少期のポジティブな経験はとくにADHD特性の高い人において重要であることがわかりました。


参考文献:
Frontiers | Positive childhood experiences reduce suicide risk in Japanese youth with ASD and ADHD traits: a population-based study

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