食物アレルギーと心血管リスク

今日のポイント：潜在的食物アレルギーが心血管死リスクと関連あり


検査で反応が見つかる程度の潜在的な食物アレルギーと心血管死のリスクの関連を調査しました。米バージニア大学からの報告です。（Journal of Allergy and Clinical Immunology、2023年11月9日）

本研究には、2005～2006年の米国国民健康栄養調査（NHANES）と、アテローム性動脈硬化に関する多民族研究（MESA）のデータが用いられました。MESAは2000～2002年に研究参加登録が行われ、心血管疾患危険因子のない一般住民が登録されています。なお、IgEは総IgEと、牛乳、卵、ピーナッツ、エビなどの食品に対する特異的IgEが評価されました。
 
・NHANESでは4,414人の成人のうち229人の心血管死が確認され、MESAでは960人中56人の心血管死が記録されていました。
・性別、年齢、人種/民族、喫煙歴、教育歴、喘息の既往を調整したCox比例ハザードモデルでの解析の結果、NHANESでは、1種類以上の食品に対する感作が心血管死リスクの高さと有意に関連していました〔ハザード比（HR）1.7（95％信頼区間1.2～2.4）、P＝0.005〕。
・特に牛乳への感作との関連が強く認められました〔HR2.0（同1.1～3.8）、P＝0.026〕。
・同様の関連はMESAでも確認されました〔HR3.8（同1.6～9.1）、P＝0.003〕。
 
以上より、潜在的に食物アレルギーがある人は心血管リスクが上昇するかもしれません。

参考：IgE to common food allergens is associated with cardiovascular mortality in the National Health and Examination Survey and the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis - Journal of Allergy and Clinical Immunology (jacionline.org)