免疫チェックポイント阻害剤ってなに?
4/21/2022 9:30:02
今日のポイント:がん細胞が免疫系細胞の攻撃から逃れるのを阻止する
人間の体には免疫機能があります。この免疫機能は日常私たちが経験する風邪のようなものから「がん」に至るまで様々な病気で顔を出します。今回は「がん治療」を革命的に進化させた【免疫チェックポイント阻害剤】について一体どういうものなのかを説明していきます。
人間の体の中に一度「がん」ができると、増殖しようとするがん細胞とそれを食い止めようとする免疫細胞の間で激しい戦いを繰り広げます。しかしこうした闘いの中でがん細胞は徐々に悪賢くなり、うまく免疫細胞の攻撃から回避するようになってきます。
具体的には、がん細胞の表面にあるPD-L1というタンパク質と免疫細胞の表面にあるPD-1というタンパク質が結合すると、免疫細胞はがん細胞を攻撃できなくなってしまします。そこでPD-L1とPD-1が互いに結合しないようにブロックすればもう一度攻撃できるようになるのではないかと考え作られたのが【免疫チェックポイント阻害剤】の始まりです。また、CTLA-4というタンパク質も免疫細胞の表面にあり、PD-1同様にこれをブロックすると免疫細胞ががん細胞への攻撃を再開することもわかっています。
この免疫チェックポイント阻害剤の開発は日本人の本庶佑先生の研究がきっかけとなっています。本庶先生は2018年に本研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞しました。その結果、これまでの化学療法や分子標的薬では根治できなかったがんが根治できたり、病気と共存しつつも楽しく過ごせる時間を長くできたりと従来よりも飛躍的な予後の改善を見込めるようになってきました。
2021/09/28現在までに、日本でがん治療に承認されている免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、CTLA-4阻害剤の3種類です。また、それぞれの適応となるがんの種類や条件は決まっています。気になる方は主治医に相談してみると良いでしょう。
尚、免疫チェックポイント阻害剤は免疫療法の一部ですが、その他の免疫療法は正しい科学的根拠がないものも多数あり、大多数は安全性や治療効果が確立していません。したがって正しい知識を持つ医師などに治療内容を相談するのが確実です。また、一度自分の受けている治療、受けようとしている治療に疑問が生じたらセカンドオピニオンなどを検討すると良いでしょう。セカンドオピニオンは患者さんの権利です。特にがん治療のように初期治療を間違えると取り返しのつかないことになる疾患では、少しでも疑問点・不明点が出たら何度でも信頼できる医師に相談し納得の上で治療開始することをオススメします。
参考:
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