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コロナvs.インフル、死亡リスク

5/14/2023 10:00:04

新型コロナ

今日のポイント:コロナとインフルの死亡リスク、最新研究では差が縮まる


COVID-19を季節性インフルエンザと比較した場合、死亡リスクの差はどのくらいかを調査した研究をご紹介します。米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムからの報告です。(JAMA Network Open誌、2023年4月6日号)

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年齢(65歳以下と65歳超)、COVID-19ワクチン接種状況(未接種、1~2回接種、ブースター接種)、COVID-19感染状況(初感染、再感染)、外来でのCOVID-19抗ウイルス治療歴(あり、なし)。ニルマトレルビル/リトナビル、モルヌピラビル、レムデシビルのいずれかを含む、上記について分類し調査しました。
 
米国退役軍人省(VA)の電子健康データベースを使用し、2022年10月1日~2023年1月31日に、SARS-CoV-2またはインフルエンザの検査結果が陽性で、COVID-19または季節性インフルエンザの入院診断を受けた2日前~10日後の間に、少なくとも1回の入院記録がある人を登録しました。両方の感染症で入院した143例は除外しました。コホートは死亡、入院後30日、または2023年3月2日まで追跡調査されました。

  • COVID-19による入院は8,996例(30日以内の死亡538例[5.98%])、季節性インフルエンザによる入院は2,403例(死亡76例[3.16%])でした。
  • 30日後死亡率は、COVID-19で5.97%、インフルエンザで3.75%、超過死亡率は2.23%(95%信頼区間[CI]:1.32~3.13%)でした。
  • インフルエンザによる入院と比較して、COVID-19による入院は高い死亡リスクと関連していました(ハザード比:1.61[95%CI:1.29~2.02])。
  • 死亡リスクは、COVID-19ワクチンの接種回数が多いほど減少しました(未接種と接種の関連はp=0.009、未接種とブースター接種の関連はp<0.001)。ほかのサブグループでは、統計的に有意な差はみられませんでした。
  • COVID-19とインフルエンザの間の死亡率の差はパンデミックの初期から減少しているおり、COVID-19で入院した人の死亡率は2020年に17~21%だったのが本研究では6%弱、インフルエンザで入院した人の死亡率は2020年に3.8%だったのが、本研究では3.7%でした。
  • COVID-19で入院した人の死亡率が低下したのは、SARS-CoV-2変異株の影響、ワクチン接種や過去の感染による免疫レベルの向上、臨床ケアの改善によるものと考えられます。
  • また、死亡リスクの増加は、ワクチン接種者またはブースター接種者と比較してワクチン未接種者でより大きくなりました。

 
以上のように、2020年に比較すると現在はCOVID-19での死亡リスクが低下し、かつ季節性インフルエンザの死亡率に近づいてきていることがわかりました。


参考:Risk of Death in Patients Hospitalized for COVID-19 vs Seasonal Influenza in Fall-Winter 2022-2023 | Infectious Diseases | JAMA | JAMA Network

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