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脳卒中発症後の転帰と体重の関係

7/9/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:脳卒中発症後の転帰は低体重ほど不良


ボディマス指数(BMI)と脳卒中発症後の転帰について調査しました。国立循環器病研究センターからの報告です。(International Journal of Stroke誌オンライン版、2024年4月23日号)

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研究グループは、2006年1月~22年12月まで日本脳卒中データバンク(JSDB)に登録された急性期脳卒中例のうち入院時BMIが入力された症例を対象としました。BMIはWHO推奨のアジア人における定義に基づき、18.5未満を低体重、18.5~23.0未満を正常体重、23.0~25.0未満を過体重、25.0~30.0未満をI度肥満、30以上をII度肥満と分類しました。脳卒中は、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血に分類し、さらに脳梗塞病型はTOAST分類を用いて、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他の脳梗塞、原因不明脳梗塞に分類しました。評価項目である退院時の転帰(患者自立度)は、国際標準尺度である修正ランキンスケール(0[後遺障害なし]~6[死亡]の7段階の評価法)を用い、同尺度の5~6を転帰不良、0~2を転帰良好と定義しました。これらを共変量で調整した後、混合効果ロジスティック回帰分析を行いました。

・急性期の脳卒中5万6,230例のうち、脳梗塞(4万3,668例、平均年齢74±12歳、男性61%)、脳出血(9,741例、平均年齢69±14歳、男性56%)、クモ膜下出血(2,821例、平均年齢63±15歳、男性33%)が今回の研究対象となりました。
・BMI18.5未満(低体重)は、脳梗塞と各病型(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)や脳出血における転帰不良のリスクを約1.4~2.3倍に高めました。
・アテローム血栓性脳梗塞では、BMIと転帰不良にU字型の関連を認め、低体重と肥満はいずれも、転帰不良のリスクを高めました。
・低体重は、とくに重症の脳梗塞や再灌流療法後における転帰不良と関連しました。
・BMI23.0~25.0(過体重)や80歳以上の高齢者におけるBMI25.0~30.0(I度肥満)のグループは、脳梗塞後の転帰不良リスクが9~17%低下し、“obesity paradox”を認めました。

以上、BMIが脳卒中病型ごとの転帰に影響を及ぼすことが判明し、とくにBMIが低い人では不良となることがわかりました。


参考文献:Clinical impact of body mass index on outcomes of ischemic and hemorrhagic strokes - Kaori Miwa, Michikazu Nakai, Sohei Yoshimura, Yusuke Sasahara, Shinichi Wada, Junpei Koge, Akiko Ishigami, Yoshiki Yagita, Kenji Kamiyama, Yoshihiro Miyamoto, Shotai Kobayashi, Kazuo Minematsu, Kazunori Toyoda, Masatoshi Koga, 2024 (sagepub.com)

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