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ワクチン接種回数、年齢層によるコロナ症状の特徴

9/28/2023 10:00:05

新型コロナ

今日のポイント:ワクチン接種回数が多いほど感染時に全身症状が現れにくいが、咽頭痛や鼻汁などの上気道症状が現れやすい
 

ワクチン接種回数、年齢層によるコロナ症状の違いを調べた研究を紹介します。北海道大学医学研究院からの報告です。(The Lancet Infectious Diseases、2023年6月30日)

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札幌市の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)療養判定システムは2022年4月にスタートし、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性判定を受けた同市市民が登録して症状などを記録しています。記録されている情報は、発症日、食事摂取状況、12種類(発熱、咳、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、頭痛、倦怠感、関節や筋肉の痛み、下痢、味覚・嗅覚異常など)の症状、年齢、性別、基礎疾患などです。これらの情報と、感染者等情報把握・管理支援システム、ワクチン接種記録システムのデータを統合して解析が行われました。
 
2022年4月25日~9月25日にデータが記録されていた15万7,861人を対象としました。年齢の中央値33歳(四分位範囲17~47)、65歳以上6.9%、男性47.7%、BMI中央値21.1、BMI30以上4.3%、ワクチン未接種者38.0%、感染既往者3.7%などでした。また、オミクロンBA.2の感染者が21.8%、BA.5が78.2%を占めていました。重症化した(酸素投与と入院を要した)のは142人、30日以内の死亡は4人でした。

  • 最も一般的な症状は咳(62.7%)であり、次いで咽頭痛(60.7%)、鼻汁(44.3%)、頭痛(42.1%)、38度以上の発熱(38.8%)、痰(36.1%)、関節や筋肉の痛み(29.1%)、食思不振(28.1%)などでした。BA.2流行期と比較してBA.5流行期には発熱や食思不振などの全身症状が多く、これはワクチン接種歴や基礎疾患などの影響を除外した解析でも同様でした。
  • ワクチン接種歴との関連では、3回以上接種した人は全身症状が現れにくく、反対に鼻汁や咽頭痛といった上気道症状が現れやすいことが分かりました。またワクチン接種の影響は、接種日から日数が経過するに従い小さくなること、2回接種よりも3回接種の方がより強い影響が持続することも示されました。
  • 年齢との関連については、高齢者は若年者と比較して、全体的に症状が現れにくいものの、いったん発熱や倦怠感などの全身症状が出現すると、その後に重症化しやすくなる傾向が認められました。例えば、呼吸困難、発熱、食思不振、倦怠感という4症状がある場合、それらがない場合に比べて重症化のオッズ比は40.26(95%信頼区間14.60~110.98)に上りました。
  • 一方で、咽頭痛や鼻汁が出現した高齢者は、その後の重症化リスクが低い傾向が見られました。例えば、咽頭痛と鼻汁の双方がある場合、その後の重症化のオッズ比は0.19(同0.08~0.45)でした。

 
以上より、COVID-19のワクチン接種回数が多いほど感染時に全身症状が現れにくい一方で、咽頭痛や鼻汁などの上気道症状が現れやすいことなどが明らかになりました。

 
参考:Associations of COVID-19 symptoms with omicron subvariants BA.2 and BA.5, host status, and clinical outcomes in Japan: a registry-based observational study - The Lancet Infectious Diseases

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