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乳房温存術後の放射線治療①

5/15/2022 9:30:03

がん

今日のポイント:乳房温存術と放射線治療はセットで考える。


 乳がんに対する術式は、乳房を温存する形と乳房を温存しない形の二つの手術方法があります。今回は乳房を温存する形で手術が行われた場合、その後に行われる放射線治療について解説していきます。

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 乳房を温存する形での手術のメリットは、その整容性の良さ(=見た目の良さ)です。非常に小さな傷しか残らず、メスの入る部位によってはほとんどどこを手術したのか分からないほど綺麗に仕上がります。

 乳房を温存する形で手術した場合は、原則的にその後の放射線治療はセットで考える必要があります。手術で病巣を取りきれたとしても乳がんの再発確率を下げる目的で術後の放射線治療を行います。具体的には、乳癌診療ガイドラインによると、ランダム化比較試験のメタアナリシスでは、10年後の再発確率を35.0%→19.3%へと15.7%下げることが示されています。

 実際の線量は50Gy前後(±10Gy前後の局所照射)が選択されることが多いですが、施設によって多少数値は前後します。いくつかの条件が満たされた場合は線量や回数を減らすことも可能になります。詳しくは主治医や放射線治療医に聞いてみましょう。

 温存乳房に対する全乳房照射により、乳がん再発、乳がん死のリスクが低減でき、さらに現時点では全乳房照射を安全に省略できる患者層も明らかになっていないため、原則的に温存乳房手術+放射線治療のセットで治療を行うことが標準治療とされています。

 次回は、術後の放射線治療に伴う有害事象(副作用)について解説します。


参考:BQ1.StageⅠ―Ⅱ乳癌に対する乳房温存手術後の放射線療法として全乳房照射は勧められるか? | 乳癌診療ガイドライン | 乳癌診療ガイドライン2018年版 (xsrv.jp)

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