睡眠の質と嚥下機能
11/14/2024 10:00:05
今日のポイント:嚥下機能は睡眠の質と関連
嚥下機能と睡眠の質の関連を調査しました。広島大学からの報告です。(「Heliyon」、2024年5月31日)
J-MICC Study 静岡研究と大幸研究の2012年2月~2015年3月の調査データを用いて、60歳以上の人を対象に、嚥下障害のリスクと睡眠の健康との関係を検討しました。「地域高齢者誤嚥リスク評価指標(DRACE)」を用いて、合計スコア4点以上を嚥下障害のリスクありとしました。また、「ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)」の合計スコア6点以上を睡眠の質が悪いと判定し、睡眠の持続時間、満足度、規則性などについても調査しました。
・解析対象者3,058人(男性1,633人、平均年齢66.5±4.2歳)のうち、嚥下障害のリスクがある人は28.0%、睡眠の質が悪い人は19.1%でした。
・嚥下障害のリスクがない人に比べ、リスクがある人は、睡眠の質が悪い人が多く(15.4%対28.5%)、平均睡眠時間が短く(6.74±0.88対6.62±0.99時間)、十分な睡眠のとれている人は少なく(61.7%対48.9%)、睡眠が不規則な人が多い(7.3%対13.7%)という傾向が認められました。
・対象者の背景の差を調整後、嚥下機能と睡眠の関連を解析したところ、男性では、嚥下障害のリスクがあると、睡眠の質が悪いこと(オッズ比1.98、95%信頼区間1.38~2.83)、睡眠不満足(同1.69、1.29~2.20)、不規則な睡眠(同1.88、1.20~2.94)と有意に関連していることが明らかとなりました。
・女性では、嚥下障害のリスクは睡眠の質が悪いこと(同1.39、1.00~1.92)、睡眠持続時間が6時間未満(同1.47、1.02~2.14)と有意に関連していた一方で、睡眠不満足、不規則な睡眠との関連は有意ではありませんでした。
・また、嚥下障害のリスクとPSQI各項目の点数(0点または1~3点)との関連を検討したところ、男女とも、嚥下障害のリスクは睡眠の質、入眠時間、睡眠困難、日中覚醒困難と有意に関連していました。
・特に、日中覚醒困難については、男性(同2.10、1.62~2.71)、女性(同2.04、1.40~2.46)ともに関連が強くなりました。
以上より、男女ともに嚥下機能の低下が睡眠の質の低下と関連していることが明らかとなりました。
参考文献:
Association between dysphagia risk and sleep quality in community-dwelling older adults: A cross-sectional study: Heliyon (cell.com)
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