肥満や脂質異常症と慢性腎臓病
6/3/2025 10:00:04
今日のポイント:肥満や脂質異常症は腎機能低下と関連
日本のメタボリックシンドロームの基準値を外れる内臓脂肪蓄積や脂質異常症、肥満と腎機能低下の関連を調査しました。東京大学からの報告です。(Internal Medicine誌オンライン版、2025年4月12日)

大規模な職域健診データを解析し、日本のメタボリックシンドロームの基準値(ウエスト周囲径[男性≧85cm、女性≧90cm]、トリグリセライド値≧150mg/dL、HDLコレステロール値<40mg/dL)およびBMI値25以上とCKDの発症・進行との関連を調査しました。対象は、2015~22年にパブリックヘルスリサーチセンターが実施した健康診断を受け、血清クレアチニンを2回以上測定していた30万8,174人でした。eGFRの低下率とBMI、HDLコレステロール、トリグリセライドとの関連を調べるために多変量ロジスティック回帰分析を実施しました。さらに、ポアソン回帰分析を使用して、ベースライン時に尿蛋白が認められなかった集団における尿蛋白の新規発現とeGFRの低下との関連を評価しました。
●ベースライン時の年齢中央値は46歳で、男性が60%でした。
●HDLコレステロール低値は、その後の比較的急速なeGFRの低下(≧5%/年)と関連していました(調整オッズ比[aOR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.97~0.99、p<0.0001)。
●ウエスト周囲径、HDLコレステロール値、トリグリセライド値がメタボリックシンドロームの基準から外れている場合、基準内の集団よりも尿蛋白の新規発現が多くなりました。
・ウエスト周囲径高値のaOR:1.36(95%CI:1.28~1.45)、p<0.0001
・HDLコレステロール低値のaOR:1.21(95%CI:1.08~1.36)、p=0.0012
・トリグリセライド高値のaOR:1.09(95%CI:1.02~1.17)、p<0.0001
●BMI値が高いほど尿蛋白の新規発現が多くなりました。
・BMI値25以上のaOR:1.40(95%CI:1.32~1.49)、p<0.0001
・BMI値30以上のaOR:1.64(95%CI:1.49~1.80)、p<0.0001
・BMI値35以上のaOR:1.82(95%CI:1.52~2.19)、p<0.0001
以上より、肥満や脂質異常症が慢性腎臓病のリスクを増大させる可能性が示唆されました。
参考文献:
Association of Obesity, Visceral Fat Accumulation, and Dyslipidemia with the Risk of Chronic Kidney Disease
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