モデルナ vs. ファイザー製ワクチン

今日のポイント：ファイザー製ワクチンの方が抗体価減少の速度が速い
 

　一般の方から「モデルナ製とファイザー製、どっちが良いの？」と聞かれることがたまにありますが、今回はその質問に対する一つの考え方を提案できるかもしれません。米国バージニア大学から出た最新の文献を参考に考えてみましょう。(Frontiers in Immunology、2022年3月21日掲載)

モデルナ、ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J＆J)製ワクチンのいずれかを接種完了した234人を対象に、10ヶ月間のワクチン接種後の抗体量(IgG)の変化を検証しました。

• モデルナ、ファイザー製ワクチン接種者はそれぞれ114人、J＆J製のワクチン接種者は6人でした。
• 結果、2回目接種後7～20日間ではモデルナとファイザーで抗体価に明らかな差がなく、J＆Jと比較して50倍程度高いとされました。
• 2回目接種後21日以降では、ファイザーの方がモデルナよりも抗体価の減少が速いとなりました。
• また、ファイザーでは、50歳以上の人は50歳未満の人に比べてどの時点でも一貫して抗体価が低い結果になりました。この傾向はモデルナでは認められませんでした。

 同じmRNAタイプのワクチンですが、その免疫学的な機序や用量などの違いが今回の結果に関係するのではないかと筆者は考えているようですが、その詳細は未だ分かっていない部分が多くあります。

　今回の研究結果のみで、モデルナとファイザー製ワクチンの優劣をつけることはできません。さらに世界的な研究が進み、それぞれの人種や性別、年齢などでより適切なワクチン選択の可能性を探ることが期待されています。


参考：Frontiers | Trajectory of IgG to SARS-CoV-2 After Vaccination With BNT162b2 or mRNA-1273 in an Employee Cohort and Comparison With Natural Infection | Immunology (frontiersin.org)