妊娠・乳幼児期の大気汚染曝露と小児喘息
10/6/2024 10:00:05
今日のポイント:妊娠・乳幼児期の大気汚染物質の複合曝露が小児喘息と関連
妊娠期、子どもの乳幼児期における大気汚染物質への曝露と小児喘息の発症との関連を調査しました。昭和大学からの報告です。(Ecotoxicology and Environmental Safety、2024年6月20日)
株式会社JMDCの保有するデータベースを用いて、2010年1月~2017年1月に出生した児とその母親のデータを抽出し、妊娠中、乳幼児、幼児期における大気汚染物質への曝露と4~5歳時点の喘息との関連を調べました。大気汚染については国立環境研究所のデータより、微小粒子状物質(PM2.5)、浮遊粒子状物質(SPM)、窒素酸化物(NOx)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、一酸化炭素(CO)、光化学オキシダント(Ox)、二酸化硫黄(SO2)、全炭化水素(THCs)、非メタン炭化水素(NMHCs)の各濃度を調べました。
・大気汚染物質の分布は、PM2.5とSPMは九州地方と瀬戸内海地方に多く、NOとNO2は関東地方に多くなりました。
・また、SO2は瀬戸内海地方と鹿児島湾地方に多いことが分かりました。
・解析対象の母親(年齢中央値32.0歳)と子どものペアは5万2,526組(1,149市町村)であり、そのうち1万2,703人(24.2%)の子どもが4~5歳時点で喘息を有していました。
・次に、weighted quantile sum(WQS)regressionモデル(各大気汚染物質ごとに重み付けを行い、複合曝露の影響をサマリースコアとして算出する方法)で解析したところ、妊娠期、乳児期、幼児期の大気汚染物質の複合曝露が10パーセントタイル上昇するごとに、それぞれ喘息発症のオッズが1.04倍(95%信頼区間1.02~1.05)、1.02倍(同1.01~1.03)、1.03倍(同1.01~1.04)となることが明らかとなりました。
以上より、低濃度の大気汚染物質への複合曝露が、持続性小児喘息の発症と関連していることが明らかとなりました。
参考文献:
Joint associations of air pollutants during pregnancy, infancy, and childhood with childhood persistent asthma: Nationwide database study in Japan - ScienceDirect
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