10代の若者の自殺理由とは?
3/25/2025 10:00:00
今日のポイント:学校や家庭の問題、および自閉スペクトラム症が多い
10代の若者が自殺行動に至る理由やその手段などの特徴を調査しました。日本医科大学付属病院精神神経科からの報告です。(BMC Psychiatry、2024年11月6日)

2010~2021年に同院救命救急センターに収容され、救命し得た症例を対象とする詳細な解析を行いました。自殺企図の原因・動機や精神疾患の有無などは、2人以上の経験豊富な精神科医の討議により推定・診断しました。
・上記期間の自殺未遂による患者数は860人でした。
・このうち、10代の自殺未遂の特徴を探るという意図から、最も近い世代である20代の自殺未遂者を比較対照群としました。
・各群の患者数は、10代が59人(全体の6.9%)、20代が216人(同25.1%)でした。
・10代と20代の合計275人の全体としての特徴を見ると、女性が68.7%と多く、精神科の受診歴ありが74.2%、自傷行為の既往ありが61.8%でした。
・自殺行動の手段としては過量服薬が67.3%、高所からの飛び降りが17.8%などであり、認められた精神疾患・発達特性は、気分障害23.6%、パーソナリティー障害21.5%、適応障害17.1%、統合失調症と他の精神病性障害12.0%、自閉スペクトラム症9.8%などでした。
・これらを10代と20代で比較した場合、性別の分布や自傷行為の既往には有意差がありませんでしたが、精神科の受診歴は20代に多く(10代62.7%対20代77.3%)、高所からの飛び降りによる自殺企図(同順に28.8%対14.8%)や自閉スペクトラム症(28.8%対4.6%)は10代に多いといった有意差が認められました。
・自殺企図の原因・動機については、学校の問題(40.7%対4.6%)、家庭の問題(39.0%対16.7%)、家庭の問題のうちの親子関係(30.5%対8.8%)などは10代が有意に多く、一方、恋愛上の問題(5.1%対32.4%)、仕事上の問題(3.4%対20.8%)、経済的な問題(0.0%対12.0%)は20代が有意に多くなりました。
・次に、先行研究において10代の自殺に関連が深いと報告されている事柄を説明変数とするロジスティック回帰分析にて、10代の自殺企図に関連のある因子を検討しました。
・その結果、学校の問題(オッズ比〔OR〕14.338〔95%信頼区間5.557~36.998〕)、自閉スペクトラム症(OR7.297〔同2.541~20.956〕)、家庭の問題(OR2.860〔1.355~6.038〕)という三つの因子がそれぞれ独立して自殺企図に関連していることが示されました。
以上より、学校や家庭の問題、および自閉スペクトラム症が、この世代の自殺リスクを押し上げている可能性があります。
参考文献:
Characteristics of Japanese teenage suicide attempters: a retrospective study comparing suicide attempters with young adults | BMC Psychiatry | Full Text
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