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コロナ再感染、変異株ごとに対する免疫は?

3/9/2023 10:00:03

新型コロナ

今日のポイント:オミクロン BA.1 株への再感染予防効果は急速に低下
 

コロナ再感染に対する変異株ごとの免疫について、米国・保健指標評価研究所(IHME)よりメタ解析の結果が示されました。(Lancet 誌オンライン版、2023 年 2 月 16 日)

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PubMed、Web of Science、medRxiv、SSRN などを用い、2022 年 9 月 31 日までに発表された査読つき論文、報告書、査読前原稿、ニュース記事などを検索しました。SARS-CoV-2 既感染者の COVID-19 のリスク減少を未感染者と比較して推定した後ろ向きおよび前向きコホート研究ならびに検査陰性症例対照研究を特定し、システマティックレビューおよびメタ解析を行いました。
アウトカムは、再感染(前回の PCR 検査/迅速抗原検査陽性から 90 日以上または 120 日以上後に検査陽性など)、症候性再感染(発熱、咳、息切れ、悪寒、筋肉痛、味覚・嗅覚障害、咽頭痛、下痢、嘔吐などを伴う再感染)、重症化(入院または死亡に至った再感染)としました。既感染の有効性について、アウトカム、変異株、および感染からの経過時間ごとにメタ解析し、ベイズメタ回帰を用いて統合効果量を推定しました。19 ヵ国の計65 件の研究が解析対象となりました。

  • 再感染に対する予防効果は武漢株、アルファ株、ベータ株、デルタ株に対しては高く統合推定値は 82%以上でしたが、オミクロン BA.1 株への再感染予防効果は低く、統合推定値は 45.3%(95%不確実性区間[UI]:17.3~76.1)でした。
  • 症候性再感染に対する予防効果も同様で、統合推定値は武漢株、アルファ株、ベータ株、デルタ株では 82%以上でしたが、オミクロン BA.1 株は44.0%(95%UI:26.5~65.0)でした。
  • 一方、重症化予防効果は概して高く、アルファ株、ベータ株、デルタ株およびオミクロン BA.1 株で 78%以上でした。
  • 感染からの時間関数として予防効果を評価すると、再感染予防効果は武漢株、アルファ株およびデルタ株を合わせ 4 週時点では 85.2%と高いものの、40 週時点では 78.6%(95%UI:49.8~93.6)に低下しました。
  • オミクロン BA.1 株への再感染予防効果の低下はより急速で、40 週時は36.1%(95%UI:24.4〜51.3)と推定されました。
  • 症候性再感染に対する予防効果も同様でした。
  • しかし、重症化予防効果は、40 週時点で武漢株、アルファ株、デルタ株は 90.2%(95%UI:69.7~97.5)、オミクロン BA.1 株は 88.9%(84.7~90.9)でした。


新型コロナウイルス既感染のその後の再感染に対する予防効果は、デルタ株までの変異株に対しては非常に高く 40 週後も高いままでしたが、オミクロン BA.1 株については時間と共に急速に低下しました。一方、再感染での重症化予防効果は、オミクロン BA.1 株までの変異株すべてにおいて、既感染 1 年後まで比較的高いレベルで維持されていました。


参考:Past SARS-CoV-2 infection protection against re-infection: a systematic review and meta-analysis - The Lancet

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