NSAIDsの長期使用と認知症リスク低下
5/30/2025 9:30:00
今日のポイント:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用は認知症リスクを12%低下
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用と認知症リスク低下の関係を調査しました。オランダ・エラスムスMC大学医療センターからの報告です。(Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版、2025年3月4日)

前向きの地域ベース研究であるロッテルダム研究から、ベースライン時に認知症のない1万1,745例を分析対象としました。NSAIDs使用データは薬局調剤記録から抽出され、参加者は非使用、短期使用(1ヵ月未満)、中期使用(1~24ヵ月)、長期使用(24ヵ月超)の4グループに分類され、定期的に認知症のスクリーニングを受けました。年齢、性別、生活習慣要因、合併症、併用薬などを調整因子として解析しました。
・平均追跡期間14.5年の間に、1万1,745例(平均年齢66歳、女性60%)の参加者の18%が認知症と診断されました。
・追跡期間終了時までに参加者の81%がNSAIDsを使用しました。
・NSAIDs使用は、長期使用者において認知症リスクの低下(ハザード比[HR]:0.88、95%信頼区間[CI] :0.84~0.91)と関連していましたが、短期使用(HR:1.04、95%CI :1.02~1.07)と中期使用(HR:1.04、95%CI:1.02~1.06)では小さなリスク増加が観察されました。
・NSAIDsの累積用量は、認知症リスクの低下と関連しませんでした。
・非アミロイドβ(Aβ)低下作用型NSAIDsの長期使用における認知症リスク低下は、Aβ低下型NSAIDsよりも大きくなりました(HR:0.79対0.89)。
・NSAIDsの長期使用による保護効果はAPOE4(対立遺伝子)を持たない参加者(HR:0.86)では観察されたが、有する参加者(HR:1.02)では観察されませんでした。
・NSAIDsの長期使用と発症リスクとの関連は、全原因認知症よりもアルツハイマー型認知症においてより顕著でした(HR:0.79)。
以上より、NSAIDsの長期使用は認知症リスクを12%低下させる関連性が認められました。
参考文献:
Long‐Term Exposure to Non‐Steroidal Anti‐Inflammatory Medication in Relation to Dementia Risk - vom Hofe - Journal of the American Geriatrics Society - Wiley Online Library
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