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熱中症とコロナ①

7/31/2022 10:00:00

新型コロナ

今日のポイント:暑熱環境における 1 時間程度の軽度の運動、あるいは 20 分のランニング程度の運動強度では、マスクの着用が体温に及ぼす影響はない
 

とても暑い毎日が続いていますが、本日は熱中症とコロナに関する救急医学会の最新の見解を見ていきましょう。今回はパート①です。

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Q-1 マスクを着用すると体温が上がるか?
A-1 暑熱環境における 1 時間程度の軽度の運動、あるいは 20 分のランニング程度の運動強度では、マスクの着用が体温に及ぼす影響はない。

【解説】
香港の最も暑い時期を想定して、サージカルマスク着用によって増幅される熱ストレス
を検討した研究では、サージカルマスク着用により生理的自覚温度(身体の蓄熱量と衣服下の内部平均放射温度に基づいて計算された熱刺激の大きさ)は 5.0℃増加した。しかし、呼吸による放熱量をモデル計算で予測した研究では、マスクを着用していない時の呼吸による放熱量は体内で作られる代謝熱の 5~10%程度に過ぎなかった。
健常成人ボランティアを用いて、マスク着用と運動強度、体温上昇の関係を検討した研究がいくつか報告されており、93 名の被験者を対象に、マスク非着用時と、サージカルマスクまたは N95 マスクを着用して 30 分後の非労作時の口腔温および鼓膜温を比較した研究では、いずれのマスクでも口腔温および鼓膜温は上昇したが、統計学的に有意な上昇を示したのは N95 マスク着用時の口腔温(平均 0.27℃の上昇)のみあった。20 名の被験者を対象に、室温 25℃・湿度 70%の環境下で、毎時 5.6 km の歩行速度で 1 時間トレッドミルによる歩行を行い、サージカルマスク非着用時と着用時で深部体温を比較した研究では、マスク着用時は深部体温が平均 0.08℃上昇したが、マスク非着用時と比較して有意差はなかった。12 名の被験者を対象に、室温 35℃・湿度 65%の環境下で、毎時 6 km の歩行速度で30 分間トレッドミルによる歩行を行い、サージカルマスク非着用時と着用時で深部体温を比較した研究では、深部体温はマスク着用の有無に関わらず上昇したが、2 群間に有意差はなかった。6 名の被験者を対象に、室温 28℃の環境下で、立位保持、歩行、ランニングを各 20 分行い、マスク非着用時(コントロール)、サージカルマスク着用時、スポーツマスク着用時において内服カプセル型深部体温計により深部体温を測定した研究 7)では、二元配置反復測定分散分析とフリードマンの順位に基づく反復測定分散分析 を行い、いずれの群でも深部体温は運動強度を上げると上昇したが(コントロール:37.4℃→38.8℃、サージカルマスク:37.2℃→38.7℃、スポーツマスク:37.3℃→38.7℃)、3 群間に有意差はなかった。
以上の研究から、マスク着用が生理的自覚温度に影響を及ぼすことはあっても、暑熱環境における 1 時間程度の軽度の運動、あるいは 20 分のランニング程度の運動強度では、マスクの着用自体が体温に及ぼす影響はないと考えられる。

 
参考:新型コロナウイルス感染症流行下における 熱中症対応の手引き(第 2 版)

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