コロナ後遺症にメトホルミンが有効?
6/29/2023 10:00:04
新型コロナ
今日のポイント:早期メトホルミン投与でコロナ後遺症改善の可能性
Long COVID(コロナ後遺症)は、倦怠感や味覚症状など多彩な症状を呈し世界中で問題になっているものの現時点で確立された治療法はありません。米国・ミネソタ大学より、Long COVIDのリスク低減効果を評価した研究が発表されました。(The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版、2023年6月8日号)

対象は、COVID-19発症から7日未満、SARS-CoV-2感染確認から3日以内、30~85歳、過体重または肥満の成人としました。
参加者は、
- メトホルミン+イベルメクチン
- メトホルミン+フルボキサミン
- メトホルミン
- イベルメクチン
- フルボキサミン
- プラセボ
の6群にランダムに割り当てられました。
評価項目として、
[主要評価項目]14日目までの重症化率(低酸素血症、救急外来受診、入院、死亡の複合)
[副次評価項目]医療従事者によるLong COVID診断
に決定されました。
- 2020年12月30日~2022年1月28日に1,431例が登録され、ランダム化されました。1,126例が長期フォローアップに同意し、180日目のLong COVIDの評価を受けました。
- 1,074/1,126例(95%)が9ヵ月以上のフォローアップを完了しました。56.1%が女性でうち7%が妊娠していました。年齢中央値は45歳、BMI中央値は29.8でした。93/1,126例(8.3%)が、300日目までにLong COVIDの診断を受けたと報告されました。
- 300日目までのLong COVIDの累積発生率は、メトホルミン群では6.3%(95%信頼区間[CI]:4.2~8.2)、プラセボ群では10.4%(95%CI:7.8~12.9)でした(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.39~0.89、p=0.012)。
- メトホルミンの有効性は、事前に規定されたサブグループ間でも一貫していました。メトホルミン投与が症状発現から3日以内に開始された場合のHRは0.37(95%CI:0.15~0.95)でした。イベルメクチン(HR:0.99、95%CI:0.59~1.64)、フルボキサミン(HR:1.36、95%CI:0.78~2.34)は、Long COVIDの累積発生率に影響がありませんでした。
以上より、メトホルミン早期投与によってコロナ後遺症の発生率を下げる可能性が示唆されました。
参考:Outpatient treatment of COVID-19 and incidence of post-COVID-19 condition over 10 months (COVID-OUT): a multicentre, randomised, quadruple-blind, parallel-group, phase 3 trial - The Lancet Infectious Diseases
この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓