新型コロナ感染の高齢者と後遺症
6/1/2023 10:00:04
今日のポイント:新型コロナ感染の高齢者のうち32%が後遺症を発症
米国・Optum Labsより、高齢者と新型コロナ感染症の後遺症との関係をまとめた研究を報告しました。(BMJ誌、2022年2月9日号)
研究グループは、UnitedHealth Group Clinical Research Database(匿名化された診療報酬請求と外来患者の臨床検査結果が含まれる)を用い、COVID-19を発症した65歳以上の高齢者(2019年1月からSARS-CoV-2感染の診断日まで継続してメディケア・アドバンテージプランに加入していた人)を対象に調査を行いました。傾向スコアマッチングにより特定したCOVID-19を発症していない3つの比較群(2020年群8万7,337例、2019年群8万8,070例、ウイルス性下気道疾患群7万3,490例)と比較しました。
2020年群は2020年において65歳以上で、COVID-19の診断を受けていない、またはPCR検査が陽性ではない集団、2019年群はCOVID-19流行前の2019年における65歳以上の集団、ウイルス性下気道疾患群は2017~19年にインフルエンザ・非細菌性肺炎・急性気管支炎・急性下気道感染症・急性下気道感染を伴う慢性閉塞性肺疾患と診断された65歳以上の集団でした。
主要評価項目は、COVID-19診断後21日以降における持続的/新規後遺症の有無(ICD-10コードで同定)とし、急性期後120日間の後遺症の過剰リスクについてリスク差およびハザード比を算出しました。また、後遺症の発症率を、年齢、人種、性別およびCOVID-19による入院の有無別に解析しました。
- SARS-CoV-2感染が診断された65歳以上の高齢者のうち、32%(87,337例中27,698例)が急性期後に持続的/新規後遺症のために医療機関を受診し、これは2020年群と比較して11%高くなりました。
- 呼吸不全(リスク差:7.55、95%信頼区間[CI]:7.18~8.01)、疲労(5.66、5.03~6.27)、高血圧(4.43、2.27~6.37)、記憶障害(2.63、2.23~3.13)、腎障害(2.59、2.03~3.12)、精神的診断(2.50、2.04~3.04)、凝固能亢進(1.47、1.2~1.73)、心調律異常(2.19、1.76~2.57)は、2020年群と比較してリスク差が大きく、2019年群との比較でも同様の結果が得られました。
- 一方、ウイルス性下気道感染症群と比較した場合、呼吸不全(リスク差[100人当たり]:2.39、95%CI:1.79~2.94)、認知症(0.71、0.3~1.08)、ウイルス感染後疲労(0.18、0.11~0.26)のみ増加が認められました。
- 入院を必要とした重症COVID-19患者は、ほとんどのリスクが顕著に増加したが、すべてが後遺症というわけではありませんでした。
以上より、高齢者はコロナ後遺症のリスクが高く、特に注意が必要です。
参考:Risk of persistent and new clinical sequelae among adults aged 65 years and older during the post-acute phase of SARS-CoV-2 infection: retrospective cohort study | The BMJ
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