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ブースター接種後も重症化リスクが高い人の特徴

11/3/2022 10:00:03

新型コロナ

今日のポイント:高齢者、複数疾患、特定の基礎疾患を有する人は要注意
 

ブースター接種後でも重症化する人としない人にはどのような違いがあるのでしょうか?英国・セント・アンドルーズ大学からの研究報告です。(Lancet誌、2022年10月15日掲載)

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研究グループは、イングランド、北アイルランド、スコットランドおよびウェールズでそれぞれ医療データセットを用い、前向きコホート研究を実施しました。これらのデータセットには、個人の臨床的・人口統計学的特性、ワクチン接種の有無と種類、RT-PCR検査によるSARS-CoV-2感染歴、重症COVID-19に関する情報が含まれています。

2020年12月8日~2022年2月28日の間に、BNT162b2(ファイザー製)またはChAdOx1 nCoV-19(アストラゼネカ製)ワクチンのみの2回接種を完了、あるいはその後BNT162b2またはmRNA-1273(モデルナ製)ワクチンのブースター接種を受けた、18歳以上の成人で構成されました。

主要評価項目は、2回目接種またはブースター接種14日以上経過後の重症COVID-19(COVID-19関連入院またはCOVID-19関連死)としました。人口統計学的および臨床的因子と重症COVID-19との関連について、ワクチン接種後の時間に関して調整した率比(aRR)および95%信頼区間(CI)を算出しました。

  • 2020年12月8日~2022年2月28日の間に、1,620万8,600人が2回接種を完了し、さらに1,383万6,390人がブースター接種を受けました。
  • SARS-CoV-2オミクロン株(B.1.1.529)が優勢であった2021年12月20日~2022年2月28日の期間に発生した重症COVID-19に限定して解析しました。
  • ブースター接種後も高齢者、併存疾患5つ以上、免疫抑制状態、慢性腎臓病は高リスク重症COVID-19は2回接種群で5万9,510例(0.4%、1,000人年当たり8.8件)、ブースター接種群で2万6,100例(0.2%、7.6件)に認められ、ブースター接種により重症COVID-19のリスクは減少しました。
  • 高齢者(80歳以上vs.18~49歳のaRR:3.60[95%CI:3.45~3.75])、併存疾患数が多い人(併存疾患5つ以上vs.なしのaRR:9.51[95%CI:9.07~9.97])、男性(男性vs.女性のaRR:1.23[95%CI:1.20~1.26])で重症COVID-19のリスクが増加しました。
  • 特定の基礎疾患を有する人も重症COVID-19のリスクが高く、とくに免疫抑制剤の投与を受けている人(ありvs.なしのaRR:5.80[95%CI:5.53~6.09])、慢性腎臓病(ステージ5 vs.なしのaRR:3.71[95%CI:2.90~4.74])で高リスクでした。
  • 一方、SARS-CoV-2感染歴は重症COVID-19のリスク低下と関連していました(ブースター接種の9ヵ月以上前の感染vs.感染歴なしのaRR:0.41[95%CI:0.29~0.58])。


以上より、高齢者、併存疾患が多い、男性、免疫抑制剤投与中、慢性腎臓病などはハイリスクと考えられ、今後も注意が必要です。


参考:Severe COVID-19 outcomes after full vaccination of primary schedule and initial boosters: pooled analysis of national prospective cohort studies of 30 million individuals in England, Northern Ireland, Scotland, and Wales - The Lancet

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