title

がんサバイバーの寿命を延ばすには?

6/12/2025 10:00:05

がん

今日のポイント:米国がん協会のガイドライン遵守はがんサバイバーの寿命を延ばす

喫煙習慣のない肥満関連のがんサバイバーは、米国がん協会(ACS)が推奨する食事と身体活動に関するガイドラインを遵守することで死亡リスクが低下する可能性が示唆されました。(Journal of the National Cancer Institute、2025年4月3日)

image

ACSは2022年にがんサバイバー向けの栄養と身体活動に関するガイドラインを改訂しました。改訂ガイドラインでは、健康的な体重の維持、定期的な身体活動、健康的な食生活、飲酒の制限が強調されています。具体的な推奨事項は以下の通りです。

・毎週、中強度の身体活動を150~300分、または高強度の身体活動を70~150分、あるいはこれらを組み合わせて行うこと。
・座って過ごす時間を減らすこと。
・野菜、果物、全粒穀物を豊富に摂取すること。
・赤肉や加工肉、甘い飲み物、高度に加工された食品、精製された穀物の摂取を制限するか、摂取しないこと。
・飲酒量を制限、または禁酒すること。
・健康的な体重を維持すること。

1992年に始まったがんリスクに関する長期研究(Cancer Prevention Study-II Nutrition Cohort)に参加した喫煙習慣のないがんサバイバー3,742人(平均年齢67.6歳)の生活習慣を分析し、ガイドラインの推奨事項の有効性を検討しました。これらのがんサバイバーは、1992年から2002年の間に、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、乳がん、子宮がん、腎臓がん、甲状腺がん、神経系のがん、血液がんなどの肥満関連のがんの診断を受けていました。追跡は2020年まで行われました(追跡期間中央値15.6年)。がん診断後のBMI、身体活動、食生活、飲酒の4つの領域に関するガイドライン遵守度は、それぞれに0〜2点の合計0〜8点で評価されました。

・追跡期間中に2,430人が死亡していました。
・解析の結果、ガイドラインの遵守度のスコアが6〜8点だった人は、0〜3点だった人に比べて全死亡リスクが24%(ハザード比0.76、95%信頼区間0.68〜0.85)、心血管疾患による死亡リスクが33%(同0.67、0.54〜0.83)、がん特異的死亡リスクが21%(同0.79、0.64〜0.97)低いことが明らかになりました。
・領域別に見ると、BMIの遵守度が最も高い人(2点)では最も低い人(0点)に比べて、全死亡リスクが10%、心血管疾患による死亡リスクが27%低くなりましたが、がん特異的死亡リスクについては統計学的に有意な差は認められませんでした。
・同様に、身体活動の遵守度が最も高い人(2点)では最も低い人(0点)に比べて、全死亡リスクが22%、心血管疾患による死亡リスクが26%低くなりました。

以上より、米国がん協会のガイドライン遵守によってがんサバイバーの寿命は延びることが示唆されています。


参考文献:
Following the American Cancer Society guideline for cancer survivors and obesity-related cancer survival | JNCI: Journal of the National Cancer Institute | Oxford Academic

この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログへにほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 病気ブログ 新型コロナウイルス感染症へにほんブログ村 病気ブログ がんへ