睡眠の質と食道がんの関係
8/15/2023 10:00:04
がん
今日のポイント:睡眠の質が下がると食道腺がんのリスク上昇
睡眠の質と食道がんの発症リスクとの関連について調べました。ワシントン大学セントルイス校からの報告です。(Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌、2023年8月1日号)
英国バイオバンク(2006~16年)の参加者39万3,114例を対象に、睡眠行動(クロノタイプ、持続時間、昼寝、日中の眠気、いびき、不眠症)とEACおよび食道扁平上皮がん(ESCC)リスクとの関連性を前向きに評価しました。
参加者は、1日当たり6時間未満または9時間超の睡眠、日中の昼寝、習慣的な日中の眠気などの不健康な行動の数によって、良い睡眠群(0)、中程度の睡眠群(1)、悪い睡眠群(2つ以上)に分類されました。EACについては多遺伝子リスクスコアとの相互作用も調べました。Coxモデルを使用して、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定しました。
- 最長9.3年の追跡期間中に、294例のEACと95例のESCCが診断されました。
- 睡眠の質が悪いことを示す睡眠複合スコアが高いのは、男性、BMIが高い、喫煙者、胃食道逆流症(GERD)の既往がある人に多くなりました。
- 1日当たり9時間超の睡眠(HR:2.05、95%CI:1.18~3.57)、時々の日中の昼寝(HR:1.36、95%CI:1.06~1.75)は、EACリスクの増加と個別に関連していました。
- 良い睡眠群と比較して、中程度の睡眠群はEACリスクが47%(HR:1.47、95%CI:1.13~1.91)増加し、悪い睡眠群は同87%(HR:1.87、95%CI:1.24~2.82)増加しました。
- 睡眠の質によるEACリスク上昇は、遺伝子リスクスコアの層別に見ても同様でした。
- 夕方のクロノタイプは、登録2年後のESCC診断のリスク上昇と関連していました(HR:2.79、95%CI:1.32~5.88)。
以上より、睡眠の質と食道がん(食道腺がん)の関連性が示唆されました。
参考:Sleep Behaviors, Genetic Predispositions, and Risk of Esophageal Cancer | Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention | American Association for Cancer Research (aacrjournals.org)
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