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SGLT2阻害薬とがん発症抑制

1/23/2025 10:00:04

がん

今日のポイント:GLT2阻害薬のほうががん発症リスクが低く、とくに大腸がんの発症リスクが低い

SGLT2阻害薬は実験レベルでさまざまながん種に対する抗腫瘍効果が示唆されており、臨床においても、無作為化試験や観察研究などでSGLT2阻害薬とがん発症リスクとの関係が検討されているが結論は出ていません。そこで今回、東京大学/国立保健医療科学院の鈴木 裕太氏らが全国規模の疫学データベースを用いて、SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を処方された患者におけるがん発症率を調べました。(Diabetes & Metabolism誌2024年11月号)

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大規模疫学データベースにおいて、新規でSGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を処方された糖尿病患者を解析しました。主要評価項目はがん発生率とし、傾向スコアマッチングアルゴリズムを用いて、SGLT2阻害薬群とDPP-4阻害薬群におけるがん発症率を比較しました。

・2万6,823例を1:2(SGLT2阻害薬群8,941例、DPP-4阻害薬群1万7,882例)に傾向スコアマッチングしました。平均追跡期間2.0±1.6年の間に1,076例ががんを発症しました。
・SGLT2阻害薬投与はがんリスク低下と関連し(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.70~0.91)、とくに大腸がんリスクの低下と関連していました(HR:0.71、95%CI:0.50~0.998)。
・この結果は、オーバーラップ重み付け解析(HR:0.79、95%CI:0.66~0.94)、治療の逆確率重み付け解析(HR:0.75、95%CI:0.65~0.86)、導入期間の設定(HR:0.78(95%CI:0.65~0.93)を含む種々の感度解析で一貫していました。
・がん発症リスクはそれぞれのSGLT2阻害薬で同程度でした。

以上より、SGLT2阻害薬のほうががん発症リスクが低く、とくに大腸がんの発症リスクが低いことがわかりました。


参考文献:
Association of SGLT2 inhibitors with incident cancer - ScienceDirect

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