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熱中症とコロナ④

8/7/2022 10:00:02

新型コロナ

今日のポイント:熱中症とコロナ感染症を臨床所見から区別することは難しい
 

引き続き熱中症とコロナに関する内容を取り上げます。

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Q-4 熱中症とCOVID-19は臨床症状から区別できるか?
A-4 熱中症とCOVID-19はいずれも多彩な全身症状を呈するため、臨床症状のみから鑑別は困難である。
 
【解説】
熱中症とCOVID-19の臨床症状を直接比較した論文はなく、各々の臨床症状についての論文より検討した。熱中症の発生に最も寄与する環境因子は気温であり、7月中旬~8月上旬にかけてピークを迎える。屋外での労働・スポーツ、エアコンのない屋内などの暑熱環境の暴露という病歴があれば、熱中症の可能性が上がる。しかし、暑熱環境の暴露があるからといって、COVID-19を否定できるわけではない。
熱中症の症状は、日本救急医学会熱中症分類によると、Ⅰ度熱中症ではめまい、立ちくらみ、生あくび、発汗、筋肉痛、筋痙攣など、Ⅱ度熱中症では頭痛、嘔気・嘔吐、全身倦怠感、軽度の意識障害など、Ⅲ度熱中症では高度の意識障害、小脳症状、痙攣発作などがある。一方で、COVID-19の症状は、発熱、悪寒戦慄、全身倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛、呼吸困難、鼻汁、咽頭痛、咳嗽、くしゃみ、嗄声、嘔気、下痢、腹痛、耳痛、嗅覚異常、味覚異常、意識障害、ブレインフォグ、胸痛、動悸、眼痛、皮疹などがある。
双方の発生頻度を比較すると、熱中症では体温の上昇を伴うことが多いが、COVID-19 でも発熱がみられる。Ⅰ度熱中症の症状のうち、COVID-19でも筋肉痛はみられるが、筋痙攣の報告はほとんどない。Ⅱ度熱中症の症状のうち、COVID-19でも頭痛、全身倦怠感、嘔気がみられる。また、Ⅱ、Ⅲ度熱中症で出現する意識障害は、COVID-19でも1~20%で合併する。以上より、両者の鑑別において、筋痙攣は熱中症に特異的であるが、発熱・頭痛・全身倦怠感・嘔気・意識障害などの全身症状は熱中症とCOVID-19のいずれにも出現する。
COVID-19の特徴的な臨床症状は鼻汁、咽頭痛、咳嗽、くしゃみ、嗄声、呼吸困難である。熱中症では鼻汁・咽頭痛・咳嗽・くしゃみ・嗄声は通常は出現しないが、呼吸困難は認めることもある。また、オミクロン株以前のCOVID-19 では特徴的な所見として嗅覚障害が47.9%で合併するとmeta-analysisで報告されていたが、現在の主流系統であるオミクロン株では頻度が減少(22.3-27.7%)すると報告された。しかしながら、熱中症で嗅覚障害を認めることは殆どない。両者の鑑別において、呼吸困難は熱中症とCOVID-19 のいずれでもみられるが、鼻汁・咽頭痛・咳嗽・くしゃみ・嗄声・嗅覚障害は熱中症では頻度が少ない。しかしながら、嗅覚障害を除く上気道炎症状は、他のウイルス感染症にもみられるため、熱中症とは鑑別可能ではあるが、もちろんCOVID-19に特異的なものではない。
熱中症とCOVID-19はいずれも多彩な全身症状を呈するため、臨床症状のみから鑑別は困難である。しかし、熱中症における筋痙攣、COVID-19 における鼻汁・咽頭痛・咳嗽・くしゃみ・嗄声・嗅覚障害などの症状は両者の鑑別の一助となる。

 
参考:新型コロナウイルス感染症流行下における 熱中症対応の手引き(第 2 版)

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