精神疾患患者の認知機能と自殺リスク
11/28/2024 10:00:04
今日のポイント:認知機能障害が、自傷行為や自殺に影響を及ぼしている可能性あり
神経認知機能障害と自殺の関連を調査しました。カナダ・トロント大学からの報告です。(Journal of Affective Disorders誌オンライン版、2024年8月19日号)
2024年4月までに公表された研究をPubMed、Ovid、Scopusのデータベースよりシステマティックに検索しました。認知機能と自殺念慮/自殺企図との関連についてエフェクトサイズが報告された適格研究を、ランダム効果モデルを用いてプールしました。
・分析には、41件の研究を含めました。
・統合失調症感情障害およびうつ病患者において認知機能と自殺念慮/自殺企図との負の相関が認められました。
【統合失調症感情障害】自殺企図:Corr=−0.78(95%信頼区間[CI]:−1.00~0.98)、自殺念慮:Corr=−0.06(95%CI:−0.85~0.82)
【うつ病】自殺企図:Corr=−0.227(95%CI:−0.419~−0.017)、自殺念慮:Corr=−0.14(95%CI:−0.33~0.06)
・双極性障害の結果はまちまちであり、自殺企図と全般実行機能との間に有意な正の相関が認められ(Corr=0.08、95%CI:0.01~0.15)、感情抑制と負の相関が認められました。
・処理速度、注意力、学習、記憶については、診断横断的にさまざまな結果がみられました。
・本研究の限界として、サンプル構成や認知機能測定にばらつきがある点、個々の人口統計および併存疾患に関する情報を用いていない点が挙げられます。
以上より、衝動制御、計画、作業記憶の認知機能障害が、自傷行為や自殺に影響を及ぼしている可能性が示唆されました。
参考文献:
Association between cognitive functioning, suicidal ideation and suicide attempts in major depressive disorder, bipolar disorder, schizophrenia and related disorders: A systematic review and meta-analysis - ScienceDirect
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