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花粉症患者はコロナ後遺症が悪化しやすい

3/19/2023 10:00:03

新型コロナ

今日のポイント:花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい
 

花粉症患者とコロナ後遺症に関する研究報告がされました。中国・西安交通大学からの報告です。(Laryngoscope investigative otolaryngology誌、2023年2月8日号)

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急な嗅覚障害や味覚障害の発現は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予測因子と考えられています。しかしながら、慢性副鼻腔炎や喘息、季節性アレルギー、アレルギー性鼻炎などを有する患者では、SARS-CoV-2に感染する前にすでに併存疾患の影響によって嗅覚障害や味覚障害が生じている可能性があり、それらによる評価が効果的ではない可能性がありました。そのため、今回研究グループは、呼吸器疾患のあるCOVID-19患者の嗅覚・味覚と併存疾患の関連を調査することにしました。
 
「化学感覚研究のための国際コンソーシアム(Global Consortium for Chemosensory Research:GCCR)」のアンケートデータを用いて行われました。対象者は、SARS-CoV-2感染前と感染後の嗅覚・味覚の程度と、感染前6ヵ月の併存疾患の状態を自己評価しました。併存疾患(高血圧、季節性アレルギー/花粉症、肺疾患、副鼻腔炎、糖尿病、神経疾患)によって層別化し、線線形混合モデルを用いて評価しました。最終解析には、呼吸器疾患のある2万6,468例(女性1万8,429例[69.87%]、20~60歳が90%)が組み込まれました。

  • 最終解析に組み込まれた2万6,468例のうち、併存疾患があるのは1万6,016例、併存疾患がないのは1万452例でした。
  • 年齢、性別、地域を調整した多変量回帰分析の結果、高血圧、肺疾患、副鼻腔疾患、神経疾患の併存疾患があるCOVID-19患者では、嗅覚・味覚障害が悪化した割合が高くなりました(いずれもp<0.05)が、それらの回復に明らかな差はみられませんでした。
  • 季節性アレルギー/花粉症を有するCOVID-19患者では、味覚・嗅覚障害が悪化した割合が高く、回復も遅くなりました(いずれもp<0.001)。
  • 糖尿病では、味覚・嗅覚障害の悪化にも回復にも明らかな関連はみられませんでした。

 
以上より、花粉症患者では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染時の嗅覚・味覚障害のリスクが高く、その回復も遅いことが明らかになりました。



参考:The effects of comorbidities on the change of taste and smell in COVID‐19 patients - PMC (nih.gov)

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