認知症診断後の経過に男女差はあるか?
10/14/2025 10:00:00
今日のポイント:認知症の男性患者は女性患者に比較して死亡率が高い
認知症診断後の経過に男女差はあるのかどうか調査しました。米国・Duke University School of Medicineからの報告です。(JAMA Neurology誌オンライン版、2025年8月11日号)

調査はメディケア加入データを用いて2014~21年に実施され、最大8年間の追跡調査が行われました。解析は2024年4月〜2025年4月に行われました。対象は、国際疾病分類第10版(ICD-10)に基づく認知症の診断コードを有し、過去1年以上の出来高払い制メディケア加入歴のある65歳以上の患者でした。主要評価項目は、Cox比例ハザード回帰分析で推定された全死亡率のハザード比(HR)でした。副次評価項目は、一般的な医療サービスの利用(入院、専門看護施設やホスピス入所、神経画像診断サービスや理学療法/作業療法など)のHRでした。
・研究には、2014~21年に認知症と診断された572万1,711例(女性330万2,579例、男性241万9,132例)が含まれました。
・女性患者は、男性患者と比較して1年粗死亡率および全原因入院率が低くなりました(いずれもp<0.001)。
-1年粗死亡率:女性21.8%、男性27.2%
-全原因入院率:女性46.9%、男性50.5%
・男性に関連する死亡の未調整HRは1.30(95%信頼区間[CI]:1.29~1.31、p<0.001)でした。
・年齢、人種、民族、メディケイドの二重受給資格、併存疾患、医療アクセスで調整すると、この関連性はわずかに弱くなりました(調整HR:1.24、95%CI:1.23~1.26、p<0.001)。
・男性に関連する全原因入院の未調整HRは1.13(95%CI:1.12~1.14、p<0.001)、調整HRは1.08(95%CI:1.08~1.09、p<0.001)でした。
・男性患者では、ホスピス入所、神経画像検査、神経変性疾患の診断または行動障害による入院のリスクも高くなりました。
以上より、認知症の男性患者は、年齢や人種/民族、社会経済要因、併存疾患などで調整した後でも女性患者と比較して死亡率が高く、入院などの医療サービスの利用率も高いことが明らかになりました。
参考文献:
Sex Differences in Mortality and Health Care Utilization After Dementia Diagnosis | Neurology | JAMA Neurology | JAMA Network
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