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コロナ、インフル、血栓症のリスクは?

9/1/2022 10:00:03

新型コロナ

今日のポイント:コロナ入院患者は静脈血栓症のリスクが有意に高い
 

コロナ罹患による血栓症のリスクはどの程度なのでしょうか?これからインフルエンザのシーズンですが、今回はインフルエンザの入院患者と比較したアメリカ・ペンシルベニア大学の研究になります。(JAMA誌2022年8月16日号)

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研究グループは、ワクチン導入前(2020年4月~11月)のコロナ入院患者4万1,443例、ワクチン実施期間中(2020年12月~2021年5月)のコロナ入院患者4万4,194例、ならびにコロナ重複感染がない2018年10月~2019年4月のインフルエンザ入院患者8,269例(いずれも診断時に18歳以上)を後ろ向きに調査しました。

  • 主要評価項目は、入院日から90日以内の動脈血栓塞栓症(急性心筋梗塞、虚血性脳卒中)または静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症)の診断としました。
  • 患者背景は、COVID-19患者群(計8万5,637例)が平均(±SD)年齢72±13.0歳、男性50.5%、インフルエンザ患者群がそれぞれ72±13.3歳、45.0%でした。
  • 動脈血栓塞栓症の90日絶対リスクは、インフルエンザ患者群14.4%(95%信頼区間[CI]:13.6~15.2)に対し、ワクチン導入前COVID-19患者群15.8%(15.5~16.2)(群間リスク差:1.4%、95%CI:1.0~2.3)、ワクチン実施期間中COVID-19患者群16.3%(16.0~16.6)(群間リスク差:1.9%、95%CI:1.1~2.7)でした。
  • インフルエンザ患者群と比較し、動脈血栓塞栓症リスクは、ワクチン導入前COVID-19患者群(補正後ハザード比aHR:1.04、95%CI:0.97~1.11)およびワクチン実施期間中COVID-19患者群(1.07、1.00~1.14)のいずれも、有意な上昇は認めませんでした。
  • 静脈血栓塞栓症の90日絶対リスクは、インフルエンザ患者群5.3%(95%CI:4.9~5.8)に対し、ワクチン導入前COVID-19患者群9.5%(9.2~9.7)(群間リスク差:4.1%、95%CI:3.6~4.7)、ワクチン実施期間中COVID-19患者10.9%(10.6~11.1)(群間リスク差:5.5%、95%CI:5.0~6.1)でした。
  • 静脈血栓塞栓症リスクはインフルエンザ患者群と比較して、ワクチン導入前COVID-19患者群(aHR:1.60、95%CI:1.43~1.79)およびワクチン実施期間中COVID-19患者群(aHR:1.89、95%CI:1.68~2.12)のいずれも有意に高くなりました。

以上の結果より、インフルエンザと比較しコロナの入院で静脈血栓症のリスクが上昇することがわかりました。

 
参考:Association of COVID-19 vs Influenza With Risk of Arterial and Venous Thrombotic Events Among Hospitalized Patients | Geriatrics | JAMA | JAMA Network

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