オミクロン株と妊婦の罹患・死亡リスクの関係
1/31/2023 10:00:03
今日のポイント:ワクチン未接種の妊婦はコロナ感染の重症化・周産期合併症等のリスク増大
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断を受けた妊婦は、MMMI(maternal morbidity and mortality index、妊婦の罹患率・死亡率指数)リスクが増大していたことが明らかになりました。特に、ワクチン未接種の重症COVID-19妊婦で、同リスク増大はより顕著でした。英国・オックスフォード大学からの報告です。(Lancet誌オンライン版、2023年1月17日号)
18ヵ国41病院を通じて行われ、リアルタイムPCR検査でCOVID-19が確定した妊婦1人について、COVID-19と診断されていない2人の妊婦(マッチングなし)を、同時かつ連続的に対照として被験者に加えました。母親と新生児について、退院まで追跡しました。主要アウトカムは、MMMIとSNMI(severe neonatal morbidity index、重度新生児罹患率指数)、SPMMI(severe perinatal morbidity and mortality index、重度周産期罹患率・死亡率指数)としました。
- 世界保健機関(WHO)がオミクロン株に対する懸念を表明した2021年11月27日から、2022年6月30日までに4,618人の妊婦を被験者として登録しました。うち、1,545人(33%)がCOVID-19と診断され(中央値:妊娠36.7週)、3,073人(67%)はCOVID-19と診断されませんでした。
- COVID-19群は対照群に比べ、MMMIリスク(相対リスク[RR]:1.16(95%信頼区間[CI]:1.03~1.31)、SPMMIリスク(1.21、1.00~1.46)の増大が認められました。SNMIについては、COVID-19群の対照群に対する増大が認められたが(1.23、0.88~1.71)、95%CI下限値は1を下回っていました。
- COVID-19群でワクチン非接種の妊婦は、MMMIリスクのさらなる増大が認められました(RR:1.36、95%CI:1.12~1.65)。
- 重症COVID-19の妊婦は、重度母体合併症リスク(RR:2.51、95%CI:1.84~3.43)、周産期合併症リスク(1.84、1.02~3.34)、他科への紹介・集中治療室(ICU)入室・死亡のいずれかの発生リスク(11.83、6.67~20.97)の総合的なリスク増大がみられました。
- ワクチン非接種で重症COVID-19の妊婦は、MMMIリスク(RR:2.88、95%CI:2.02~4.12)と、他科への紹介・ICU入室・死亡のいずれかの発生リスク(20.82、10.44~41.54)の増大がみられましれた。
- 被験者のうちCOVID-19ワクチンを1回以上接種していた女性は2,886例(63%)で、完全接種またはブースター接種(3回またはAd26.COV2.Sワクチン2回)は2,476例(54%)でした。
- 他科への紹介・ICU入室・死亡のいずれかの発生に関するワクチン有効性(全ワクチン統合)は、ワクチン完全接種妊婦が48%(95%CI:22~65)、ブースター接種妊婦が76%(47~89)でした。COVID-19診断妊婦の同有効性は、それぞれ74%(48~87)、91%(65~98)でした。
以上のように、ワクチン未接種の妊婦は全体としてコロナの重症化リスク等が上昇する傾向にあるようです。
参考:Pregnancy outcomes and vaccine effectiveness during the period of omicron as the variant of concern, INTERCOVID-2022: a multinational, observational study - The Lancet
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