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高齢者入院患者のせん妄と認知症

5/12/2024 10:00:05

認知症

今日のポイント:高齢者のせん妄により認知症発症のリスク上昇

高齢者入院患者のせん妄と認知症の関係を調査しました。オーストラリア・クイーンズランド大学からの報告です。(BMJ誌、2024年3月27日)

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認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行いました。2001年7月~2020年3月に、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の公立・私立病院に入院した65歳以上の患者のデータを収集しました。ベースラインで認知症の患者は除外し、個人的特性と臨床的特性をマッチングすることで、せん妄ありとなしの患者の組み合わせを決定し、5年以上追跡しました。主要アウトカムは、せん妄と死亡、およびせん妄と認知症発症との関連とし、せん妄とアウトカムの用量反応関係を定量化しました。

・マッチングを行った5万5,211組(11万422例、平均年齢83.4[SD 6.5]歳、男性48%)を解析の対象としました。63ヵ月(5.25年)の追跡期間中に、58%(6万3,929例)が死亡し、17%(1万9,117例)が新たに認知症と診断されました。
・せん妄のない患者と比較して、せん妄を有する患者は、死亡リスクが高く(ハザード比[HR]:1.39、95%信頼区間[CI]:1.37~1.41)、初発の認知症のリスクも顕著に高くなりました(部分分布のHR:3.00、95%CI:2.91~3.10)。
・また、せん妄と認知症との関連は、女性よりも男性で強力でした(部分分布のHR:男性3.17、女性2.88、p=0.004)。
・せん妄のエピソードが1回増えるごとに、死亡のリスクが10%増加し(HR:1.10、95%CI:1.09~1.12)、認知症のリスクは20%増加しました(部分分布のHR:1.20、95%CI:1.18~1.23)。

以上より、認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが示唆されました。

参考文献:Delirium and incident dementia in hospital patients in New South Wales, Australia: retrospective cohort study | The BMJ

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