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12~20歳のワクチン心筋炎、男性9割

1/5/2023 10:00:03

新型コロナ

今日のポイント:12~20歳のワクチン心筋炎は男性が9割
 

若年者へのCOVID-19mRNAワクチン接種後の心筋炎の再評価が進んでいます。
米国The Abigail Wexner Research and Heart Center、Nationwide Children’s Hospitalからの研究報告です。(JAMA Pediatrics誌、2022年12月5日)

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2022年8月25日までに報告された、12~20歳のCOVID-19ワクチン関連心筋炎の観察研究および症例集積研究をPubMedとEMBASEのデータベースより23件抽出し、ランダム効果モデルメタ解析を行いました。抽出されたのは、前向きまたは後ろ向きコホート研究12件(米国、イスラエル、香港、韓国、デンマーク、欧州)、および症例集積研究11件(米国、ポーランド、イタリア、ドイツ、イラク)の計23件の研究で、COVID-19ワクチン接種後の心筋炎患者の合計は854例でした。被験者のベースラインは、平均年齢15.9歳(95%信頼区間[CI]:15.5~16.2)、SARS-CoV-2感染既往者3.8%(1.1~6.4)。心筋炎の既往や心筋症を含む心血管疾患を有する者はいませんでした。

  • 接種したワクチンは、ファイザー製(BNT162b2)97.5%、モデルナ製(mRNA-1273)2.2%でした。
  • ワクチン接種後に心筋炎を発症した患者では、男性が90.3%(87.3~93.2)でした。
  • ワクチン接種後に心筋炎を発症した患者では、1回目接種後(20.7%、95%CI:58.2~90.5)よりも2回目接種後(74.4%、58.2~90.5)のほうが多く、心筋炎の発生率は、1回目接種後が100万人あたり0.6~10.0例、2回目接種後が100万人あたり12.7~118.7例でした。
  • ワクチン接種から心筋炎発症までの平均間隔のプールされた推定値は2.6日(95%CI:1.9~3.3)でした。
  • 左室収縮障害(LVEF<55%)は患者の15.6%(95%CI:11.7~19.5)に認められましたが、重度の左室収縮障害(LVEF<35%)を有する患者は1.3%(0~2.6)でした。
  • 心臓MRI検査(CMR)では、87.2%の患者にガドリニウム遅延造影(LGE)所見が認められました。
  • 92.6%(95%CI:87.8~97.3)の患者が入院し、23.2%(11.7~34.7)の患者がICUに収容されたが、昇圧薬投与は1.3%(0~2.7)にとどまり、入院期間は2.8日(2.1~3.5)で、入院中の死亡や医療機器の支援を必要とした患者はいませんでした。
  • 最もよく見られた心筋炎の臨床的特徴は、胸痛83.7%(95%CI:72.7~94.6)、発熱44.5%(16.9~72.0)、頭痛33.3%(8.6~58.0)、呼吸困難/呼吸窮迫25.2%(17.2~33.1)でした。
  • 心筋炎の治療に使用された薬剤は、NSAIDsが81.8%(95%CI:75.3~88.3)、グルココルチコイド13.8%(6.7~20.9)、免疫グロブリン静注12.0%(3.8~20.2)、コルヒチン7.3%(4.1~10.4)でした。
  • SARS-CoV-2感染後の心筋炎発症リスクは、mRNAワクチン接種後の心筋炎発症リスクよりも有意に高く、複数の国や地域の多様な若年者の集団において、ワクチン関連心筋炎の早期転帰がおおむね良好であり、ワクチン接種による利益は潜在的リスクを上回ると判断されました。

 
以上より、ワクチン接種後の心筋炎発生率は男性のほうが女性よりも高く、15.6%の患者に左室収縮障害を認めましたが、重度の左室収縮障害(LVEF<35%)は1.3%にとどまり、若年者のワクチン関連心筋炎の早期転帰がおおむね良好であることが明らかになりました。


参考:Myopericarditis After COVID-19 mRNA Vaccination Among Adolescents and Young Adults: A Systematic Review and Meta-analysis | Adolescent Medicine | JAMA Pediatrics | JAMA Network

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