title

飛行機内における急病人の発生頻度は?

12/7/2025 10:00:04

その他

今日のポイント
→発生頻度は乗客100万人当たり39例、フライト212便当たり1例の割合

84の航空会社が参加した大規模な国際データを分析し、航空機内での急病(機内医療イベント)の発生頻度や、航空機の目的地変更につながる要因などを調査しました。米国・デューク大学からの報告です。(JAMA Network Open誌、2025年9月29日号)

image

本研究では、2022年1月1日~2023年12月31日の期間に地上支援センターへ報告された、航空会社84社7万7,790例の機内医療イベントを対象に観察コホート研究が実施されました。

・全7万7,790例の機内医療イベントにおいて、その発生頻度は乗客100万人当たり39例、フライト212便当たり1例の割合でした。
・急病になった乗客は、女性が54.4%、年齢中央値43歳(IQR 27~61)でした。
・機内医療イベントによる航空機の目的地変更は1.7%(1,333例)発生しました。
・全イベントのうち312例(0.4%)が死亡し、年齢中央値69歳(IQR 55~79)でした。
・急性心疾患による死亡が276例(88.5%)を占め、これらの死亡例において心肺蘇生法が実施されていました。
・医療経験を持つ乗客ボランティアは、32.9%(2万5,570例)の医療イベントを支援しました。
・また、目的地変更となった1,333例のうち1,056例(79.2%)、死亡に至った312例のうち246例(78.9%)でボランティアの関与がありました。
・目的地変更の主な原因は、神経系疾患(542例、40.7%)と心血管系疾患(359例、26.9%)でした。
・目的地変更のオッズが高かったのは、脳卒中疑い(調整オッズ比[aOR]:20.35、95%信頼区間[CI]:12.98~31.91)、急性心疾患(aOR:8.16、95%CI:6.38~10.42)、意識変容(aOR:6.96、95%CI:5.98~8.11)でした。
・全イベントにおける主な医療介入として、酸素療法(40.8%)、非麻薬性鎮痛薬(15.2%)、制吐薬(14.9%)が使用されました。

以上より、飛行機内での医療イベントの発生頻度は乗客100万人当たり39例、フライト212便当たり1例の割合だったことが明らかになりました。


参考文献:
In-Flight Medical Events on Commercial Airline Flights - PMC

この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログへにほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 病気ブログ 新型コロナウイルス感染症へにほんブログ村 病気ブログ がんへ