title

コロナ死と細菌感染

6/6/2023 10:00:04

新型コロナ

今日のポイント:二次的な細菌感染に起因する可能性もあり


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染により集中治療室(ICU)で治療を受ける患者は、ICU入室期間や人工呼吸器装着期間が長いことが報告されています。今回米国・ノースウェスタン大学より、二次的な細菌感染による人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生率が高く、VAPが主な死亡の原因となっていることが示唆されました。(Journal of Clinical Investigation誌、オンライン版2023年4月27日号)

image

重症肺炎が疑われてICUに入室し、呼吸不全により人工呼吸器が装着された585例を対象とした前向きコホート研究を実施しました。対象患者は、試験登録時および臨床的に肺炎が疑われるたびに気管支肺胞洗浄(BAL)により、肺炎の原因となる微生物が調べられました。ICU入室期間が異なる(COVID-19患者はICU入室期間が長い)グループ間でICU入室中のイベントを比較するという課題に対処するため、CarpeDiemという機械学習システムが用いられました。

  • 対象患者585例の内訳は、COVID-19関連肺炎190例、ほかの呼吸器ウイルス関連肺炎50例、細菌性肺炎252例、肺炎以外の呼吸不全93例でした。
  • COVID-19患者のICU入室期間の長さは、主に呼吸不全を特徴とする臨床状態に起因していました。
  • 対象患者のうち、ICU入室中に少なくとも1回以上VAPを発症した患者の割合は35.5%でした。COVID-19の有無別にみると、非COVID-19患者では25.0%に対し、COVID-19患者では57.4%と有意に高率でした(p<0.001)。
  • COVID-19患者は非COVID-19患者と比べてVAPの罹患期間が有意に長くなりました(p<0.001)。
  • VAPを1回発症した患者において、緩和ケアまたは死亡に至った割合は、VAPの治療に成功した患者が17.6%に対し、VAPの治療転帰が不確定または治療失敗の患者では76.4%と有意に高率でした(p<0.001)。

 
以上より、VAPの治療失敗は死亡率の上昇に関連しており、重症COVID-19関連肺炎による死亡はVAPの治療失敗のリスクを高める呼吸不全と関連しました。


参考:JCI - Machine learning links unresolving secondary pneumonia to mortality in patients with severe pneumonia, including COVID-19

この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログへにほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 病気ブログ 新型コロナウイルス感染症へにほんブログ村 病気ブログ がんへ