がんサバイバーの脳卒中、心血管死リスク
8/21/2025 10:00:05
今日のポイント:がんサバイバーの虚血性心疾患・脳卒中による死亡リスクは、一般集団と比較して高い
がんサバイバーの虚血性心疾患・脳卒中による死亡リスクは、一般集団と比較してどうなのかを調査しました。大阪大学からの報告です。(Journal of the American Heart Association;JAHA、2025年5月15日)

解析対象は、全国がん登録(NCR)によるNCRデータベースに含まれる、2016年1月~2019年12月の間にがんと診断された患者としました。対象者の死因は、国際疾病分類第10版(ICD-10)に基づき、死亡診断書に記載された情報からNCRに登録されたコードを用いて特定されました。がん患者と一般集団の心血管疾患(CVD)死亡リスクを比較するため、標準化死亡比(SMR)とその95%信頼区間(CI)を算出しました。また、特定のCVDにおいてもがん種ごとのSMRを算出しました。
・本研究には397万2,603人(うち女性は45.8%)の患者が含まれ、621万2,672人年の追跡調査が行われました。
・CVDのSMRは2.39(95%CI 2.37~2.41)で、がん患者は一般人口集団と比較してCVD死亡リスクが2.39倍高くなりました。
・SMRは男性より女性で高くなっていました。
・CVD死亡リスクをがん種別にみると、全てのがん種でSMRが1.0を超えて上昇していました。
・SMRは非リンパ系造血器悪性腫瘍が最も高く(4.32〔95%CI 4.15~4.50〕)、前立腺がんが最も低くなりました(1.52〔95%CI 1.48~1.57〕)。
・次にがん種ごとに特定のCVDのSMRを調べました。
・その結果、特定のCVDのSMRはがん種によって異なることが明らかになりました。
・虚血性心疾患と心不全では非リンパ系造血器悪性腫瘍のSMRが最も高くなりました(それぞれ3.15〔95%CI 2.87~3.45〕、7.65〔95%CI 7.07~8.27〕)。
・虚血性脳卒中、大動脈解離・大動脈瘤、出血性脳卒中ではそれぞれ膵臓がん(5.39〔95%CI 4.79~6.05〕)、喉頭がん(3.31〔95%CI 2.29~4.79〕)、肝がん(3.75〔95%CI 3.36~4.18〕)のSMRが最も高くなっていました。
以上より、がんサバイバーの虚血性心疾患・脳卒中による死亡リスクは、一般集団と比較して高いことが報告されました。
参考文献:
Specific Cardiovascular Mortality in Cancer Survivors: A Nationwide Population‐Based Cohort Study in Japan | Journal of the American Heart Association
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