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CT検査と将来のがんリスク

7/3/2025 10:00:04

がん

今日のポイント:CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度

CT検査は診断に役立つが、被曝によってがんリスクを高める可能性がある。今回、CT検査による将来のがんリスクについて調査しました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校からの報告です。(AMA Internal Medicine誌オンライン版、2025年4月14日)

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2018年1月~2020年12月にカリフォルニア大学国際CT線量レジストリの検査データ12万1,212件を使用し、リスクモデルを用いた分析を実行しました。放射線シミュレーションで18の臓器の線量を推定し、国立がん研究所の放射線リスク評価ツールを使用して将来的な放射線誘発がんリスクを予測しました。データ解析は2023年10月~2024年10月に実施されました。

・米国において2023年に推定6,151万人が9,300万件のCT検査を受けました。
・そのうち257万人(4.2%)が小児、5,894万人(95.8%)が成人、3,260万人(53.0%)が女性でした。
・これらの検査から、約10万3,000件の放射線誘発がんの発症が予測されました。
・放射線誘発がんリスクは小児と青少年で高かったものの、成人におけるCT検査の活用率の高さによって、放射線誘発がん症例のほとんど(9万3,000件、91%)が成人によるものでした。
・がん種別で多かったがんは、肺がん(2万2,400件)、大腸がん(8,700件)、白血病(7,900件)、膀胱がん(7,100件)で、女性患者では乳がんが2番目に多くなりました(5,700件)。
・検査部位別では、成人では、腹部および骨盤CT検査によるものが最多(3万7,500件、37%)で、次いで胸部CT検査(2万1,500件、21%)が続きました。
・小児においては頭部CT検査が最多でした(53%)。
・CT検査1回当たりのがんリスクは1歳未満の小児で最も高く、たとえば15~17歳の女子のがんリスクは1,000回当たり2件だったのに対し、1歳未満の女子では1,000回当たり20件でした。
・小児は検査1回当たりのリスクが高かったものの、高齢者はCT検査の実施頻度が高く、全体では成人のリスクが高くなりました。
・たとえば、モデル予測では50~59歳の成人におけるCT検査の実施頻度ががん発生予測数(女性1万400件、男性9,300件)と最も高い相関関係にあったことが示されました。
・現在の診療慣行が継続された場合、CT関連がんは最終的に年間新規がん診断の5%を占める可能性があり、そうなるとCTはアルコール摂取(5.4%)や体重過多(7.6%)といったほかの重要なリスク要因と同等になると推測されました。

以上より、CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度である可能性が示唆されました。


参考文献:
Projected Lifetime Cancer Risks From Current Computed Tomography Imaging - PMC

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