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階段昇降と動脈硬化予防

11/30/2023 10:00:05

その他

今日のポイント:階段昇降を約50段行うとアテローム動脈硬化性心血管疾患リスクが20%以上低下する


階段昇降と動脈硬化の関係性を調べた研究を紹介します。中国・北京大学からの報告です。(Atherosclerosis誌オンライン版、2023年9月16日号)

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階段昇降の強度とアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク、およびそれらがASCVDの危険因子の存在によって変化するか否かを評価するため、英国バイオバンクからの45万8,860例の成人データを使用し、前向きコホート研究を行いました。ベースラインとベースラインから5年後の再調査で収集した情報は、階段昇降、社会人口学的要因、ライフスタイルに関するものでした。ASCVDとして、冠動脈疾患(CAD)、虚血性脳卒中(IS)、急性合併症が含まれました。また、階段昇降とASCVDとの関連性をCox比例ハザードモデルで解析し、CAD/ISの遺伝的リスクスコア(GRS)に基づく疾患感受性、ASCVDの10年リスク、ASCVDの家族歴で階層化して評価しました。
 
・中央値12.5年の追跡調査中に、ASCVDを発症したのは3万9,043例、CADは3万718例、ISは1万521例でした。
・1日あたりの階段昇降を1~5回、6~10回、11~15回、16~20回、21回以上に区分し、対照群(ベースライン時に階段昇降1日0回と報告)と比較したASCVDのHRは、順に0.97(95%信頼区間[CI]:0.93~1.01)、0.84(同:0.82~0.87)、0.78(同:0.75~0.81)、0.77(同:0.73~0.80)、0.81(同:0.77~0.85)だった。この結果はCADとISでも同等でした。
・CAD/ISのGRSに基づく疾患感受性、ASCVDの10年リスク、ASCVDの家族歴で層別化した場合、階段昇降によるASCVDのリスク保護の関連性は疾患感受性レベルの上昇によって弱くなりました。また、この関連性はASCVDのさまざまな感受性を持つ集団において広く一致していました。
・ベースライン時に階段昇降を行い、その後の再調査で階段昇降を行わなくなった人は、階段昇降を行わなかったまたは少なかった(1日あたり5回未満)人と比較して、ASCVDリスクが32%高くなりました(HR:1.32、95%CI:1.06~1.65)。
 
以上より、階段昇降を毎日5回より多く行う(段数にして約50段)とアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが20%以上低下する一方で、ベースラインと再調査の間に階段昇降を止めた人では、階段昇降をまったくしなかった人と比較して、ASCVDリスクが高くなることが明らかになりました。


参考:Daily stair climbing, disease susceptibility, and risk of atherosclerotic cardiovascular disease: A prospective cohort study - Atherosclerosis (atherosclerosis-journal.com)

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