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乳製品と肝疾患・肝がんリスク

6/30/2025 5:00:00

がん

今日のポイント:乳製品摂取と慢性肝疾患・肝がんリスクが関連

乳製品摂取量と慢性肝疾患死亡率および肝がん発症率との関連性を調査しました。米国・ハーバード大学からの報告です。(The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版、2025年4月28日)

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本研究は、1995~96年の米国国立衛生研究所-AARP 食事・健康研究の参加者を対象とした前向きコホート研究です。がんの既往歴のある参加者や過剰なカロリー摂取歴のある参加者は除外された。乳製品の摂取量や摂取頻度などは、検証済みの食品摂取頻度質問票を用いて聴取しました。Cox比例ハザードモデルを用いて関連を検討しました。

・合計48万5,931人の適格参加者が解析に含まれました。
・男性は59.8%、平均年齢は61.5(SD 5.4)歳でした。
・追跡期間中央値15.5年の間に、慢性肝疾患による死亡が993件、肝がんが940件発生しました。
・慢性肝疾患死亡率は、高脂肪乳製品および高脂肪牛乳の摂取と正の関連を示しました。
・ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下の通りになりました。
-高脂肪乳製品摂取が21以上vs.0~3.5サービング/週のHR:1.51(95%CI:1.24~1.84)、傾向のp=0.009
-高脂肪牛乳摂取が14以上vs.0サービング/週のHR:2.03(95%CI:1.31~3.14)、傾向のp<0.001
・低脂肪乳製品、低脂肪牛乳、ヨーグルトの摂取と慢性肝疾患死亡率は逆の関連を示しました。
-低脂肪乳製品摂取が21以上vs.0~3.5サービング/週のHR:0.62(95%CI:0.46~0.84)、傾向のp=0.002
-低脂肪牛乳摂取が14以上vs.0サービング/週のHR:0.54(95%CI:0.41~0.70)、傾向のp=0.028
-ヨーグルト摂取が4以上vs.0サービング/週のHR:0.60(95%CI:0.37~0.97)、傾向のp=0.057
・乳製品全体と高脂肪乳製品の摂取は、肝がん発症率とわずかながら正の関連を示しました。
-乳製品総摂取が21~28vs.0~7サービング/週のHR:1.26(95%CI:0.99~1.59)、傾向のp=0.040
-高脂肪乳製品摂取が14~21vs.0~3.5サービング/週のHR:1.35(95%CI:1.07~1.70)、傾向のp=0.014
・牛乳摂取は肝細胞がん発症率と正の関連を示しました。

以上より、高脂肪乳製品摂取は慢性肝疾患死亡リスクを高める一方で低脂肪乳製品摂取はリスクを下げ、乳製品全体・高脂肪乳製品・牛乳は肝がんリスクを高めることが明らかになりました。

参考文献:
The associations between dairy intake and chronic liver disease mortality and liver cancer incidence: a prospective cohort study - ScienceDirect

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