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コロナ vs.インフル、高齢者退院後死亡率

9/4/2023 12:00:03

新型コロナ

今日のポイント:高齢コロナ感染者の退院後死亡率、インフルより高い
 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院後に生存退院した米国の 65 歳以上の高齢者(メディケア受給者)を対象に、インフルエンザで入院後に生存退院した高齢者と比較し、高齢者の生存退院後の死亡リスクを調査しました。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターからの報告です。(BMJ 誌2023 年 8 月 9 日号)

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後ろ向きコホート研究にて、高齢者における COVID-19 入院後の長期にわたる死亡および再入院のリスクを調査しました。2020 年 3 月 1 日~2022 年 8 月 31 日に COVID-19 で入院後に生存退院した 65 歳以上のメディケア出来高払い制プランの加入者 88 万 3,394 人(COVID-19 コホート)を、2018 年 3 月 1 日~2019 年 8 月 31 日にインフルエンザで入院後に生存退院した対照 5 万 6,409 人(インフルエンザコホート)と比較しました。観察された特性の違いは、重み付け法(weighting methods)を用いて解釈しました。主要アウトカムは、退院 180 日以内の全死因死亡とし、副次アウトカムは、180 日以内のあらゆる原因による初回再入院、死亡または再入院の複合などとしました。

  • COVID-19 コホートはインフルエンザコホートと比較して、平均年齢が若く(77.9 vs.78.9 歳、標準化平均差:-0.12)、女性の割合が低くなりました(51.7% vs.57.3%、-0.11)。
  • 両群の黒人加入者(10.3% vs.8.1%、0.07)、メディケイドとメディケア両方の適格者(20.1% vs.19.2%、0.02)の割合は類似していました。
  • なお、COVID-19 コホートのほうが次の併存疾患による負荷が低くなりました。心房細動(24.3% vs.29.5%、-0.12)、心不全(43.4% vs.49.9%、-0.13)、慢性閉塞性肺疾患(39.2% vs.52.9%、-0.27)。
  • 重み付けで調整後、COVID-19 コホートはインフルエンザコホートと比較して、退院後の全死因死亡リスク(累積発生率)が、30 日時点(10.9% vs.3.9%、標準化リスク差:7.0%[95%信頼区間[CI]:6.8~7.2])、90 日時点(15.5% vs.7.1%、8.4%[8.2~8.7])、180 日時点(19.1% vs.10.5%、8.6%[8.3~8.9])のいずれの評価時点でも高率でした。
  • 再入院リスクも COVID-19 コホートが、30 日時点(16.0% vs.11.2%、標準化リスク差:4.9%[95%CI:4.6~5.1])と 90 日時点(24.1% vs.21.3%、2.8%[2.5~3.2])では高率でしたが、180 日時点では同等でした(30.6% vs.30.6%、-0.1%[-0.5~0.3])。
  • なお、試験期間中に、COVID-19 コホートの 30 日死亡リスクは 17.9%から 7.2%に低下していました。


以上より、COVID-19 はインフルエンザで入院後に生存退院した高齢者と比較した場合、COVID-19 で入院した高齢者の生存退院後の死亡リスクが高率であることが示されました。

 
参考:Long term risk of death and readmission after hospital admission with covid-19 among older adults: retrospective cohort study | The BMJ

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