インフルワクチンと急性腎障害
11/26/2024 10:00:05
今日のポイント:インフルエンザワクチンは高齢者の急性腎障害のリスク低下
インフルエンザワクチン接種と急性腎障害(AKI)の関係を調査しました。韓国・Ewha Womans Universityからの報告です。(Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌、2024年9月号)
韓国疾病管理庁の予防接種登録データと国民健康保険サービスの請求データを組み合わせた大規模データベースが使用されました。ワクチン接種時に65歳以上で、2018~19年または2019~20年インフルエンザシーズン(それぞれ9月1日~翌4月30日まで)に、インフルエンザワクチンを1回以上接種し、接種後にAKIで入院した患者が対象。腎疾患の既往がある症例は除外されました。リスク期間をワクチン接種後1~28日、観察期間をインフルエンザの各流行シーズン、対照期間を接種前14日間およびリスク期間を除く観察期間として、自己対照ケースシリーズ研究を実施しました。補正後発生率比(aIRR)は、条件付きポアソン回帰モデルを使用して、腎毒性を有する薬剤の使用とインフルエンザ感染による補正後、計算されました。
・2018~19年と2019~20年のシーズンにインフルエンザワクチンを接種した722万2,439人が特定され、このうち、5万8,023例がAKIにより入院していました。
・AKI入院患者のうち、腎疾患の既往がある症例、9月1日以前の発症例などが除外され、解析対象となったのは2018~19年:1万6,713例、2019~20年:1万6,272例でした。
・リスク期間におけるaIRRは、2018~19年シーズン(aIRR:0.83、95%信頼区間[CI]:0.79~0.87)および2019~20年シーズン(aIRR:0.86、95%CI:0.82~0.90)のいずれにおいても、対照期間と比較して統計学的に有意に減少していました。
以上より、インフルエンザワクチンの接種は65歳以上の高齢者のAKIリスク低下と関連することが明らかになりました。
参考文献:
Association Between Influenza Vaccination and Acute Kidney Injury Among the Elderly: A Self‐Controlled Case Series - Cho - 2024 - Pharmacoepidemiology and Drug Safety - Wiley Online Library
この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓